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2013/03/20 11:31
ルーラーシップの思い出(8)
12月23日、暮れの大一番・有馬記念。
JC後は本当に落ち込んでしまって、正直あまり有馬に向けてのモチベーションは高くありませんでした。
しかし、ジェンティルドンナとオルフェーヴルの回避が決まった一方で、ルーラーは参戦を表明。
小回り中山は本質的には不向きだけど、同開催の一連のタイムを見ていると秋天やJCみたいな究極の上がり勝負にはまずならなそうで、力のない馬は脱落する地力勝負になるだろうと感じました。
そうなれば、今回は多少出遅れて後ろから進めてもエンジン性能の違いで勝てる可能性がある。
むしろ今のルーラーにとっては、ほぼ瞬発力勝負になる府中よりも、小回りでも多少時計の掛かる中山の方が勝ちやすいのでは、とも思えました。
そして、もしかしたらこれがラストランになるかもしれないという事。
時間を掛けて着実に力をつけてきたルーラーだから、これまで引退を考えたことはなかったけど、年齢的には十分ありえる話です。
もし現地観戦せずにラストランになってしまったら絶対に後悔する。
元々あまり期待していなかった有馬ですが、国内GI制覇の最後のチャンスになるかもしれないこのレースを絶対に現地観戦したいと思いました。
しかし珍しく土日に仕事が入ってしまい、現地観戦はおろかTV観戦もできなくなってしまいました。
僕はルーラーの複勝20万円、単勝1万円をPATで購入し、今度こそ普通にゲートを出られますように!本来の力を発揮できますように!と、心の底から祈りながら仕事に向かいました。
仕事中も、帰路に就いても、僕は一切の外部情報を遮断し、リアルタイム観戦と変わらない条件下で、録画していたみんなのKEIBAを見ました。
競馬の神様はどこまでも冷徹でした。
馬群から2馬身ほど出遅れたゴールドシップから更に5馬身以上も遅れて、ルーラーはポツンとゲートを出たのでした。
金鯱賞を遙かに超える、生涯最悪の大出遅れでした。
レース後、大外から豪快にマクって突き抜けたゴールドシップの強さばかりがクローズアップされましたが、その背後からほぼ互角の脚を繰り出して2馬身弱の差に留まったルーラーの走りは、大出遅れを考えればゴールドシップ以上に末恐ろしい能力を感じさせるものでした。
あそこまで酷い出遅れというのはほとんど見た記憶がないし(ラガーレグルスの共同通信杯くらいか?)、ましてやGIの舞台であれほどの出遅れを克服して馬券圏内に食い込んだ馬というのは、僕は他に知りません。
ディープインパクトの皐月賞ですら約4馬身の出遅れ、ルーラーの半分程度でした。
しかしそれがどんなに凄いことでも、結果が覆ることはありません。
確かに歴代の名馬と遜色ない、圧倒的な能力を持っている事は間違いありません。
しかし、能力とは結果を残すために必要なものであって、どれほど高い能力を備えたところで肝心の結果がついてこなければ、歴史に名を残すことなどできないのです…
これで宝塚記念から4戦連続の出遅れ。
デビュー当初からゲートの遅いところはあった馬でしたが、これほど毎回出遅れてはいませんでした。
残念ながら、出遅れ癖がついてしまったと言わざるを得ませんでした。
それでも、本当に酷い大出遅れは今回の有馬記念と金鯱賞のみで、他はルーラーにとっては競走能力の発揮にそれほど支障は無い程度のもの。
放牧してリフレッシュさせれば、またそれなりに出てくれるようになるのではないかと思っていました。
また、進退を決める上で大きな判断材料となる「種牡馬価値」の問題。
例えばディープインパクトとかフランケルのような完璧な戦績を残した馬なら、少しでも成績に傷がつくことで種牡馬価値が下落するリスクがあるので早期引退も理解はできますが、
ルーラーシップの場合、成績は既に傷だらけで、成長曲線的にもようやく完成期に入ったところでした。
もう一年現役を続ける事で何らかのタイトルを加える可能性は高いし、敗戦歴が増えたとしても今更種牡馬価値が大きく下がるとも思えません。
クラブ会員の事を考えても、現役続行の可能性の方が高いと思っていました。
しかし、陣営が下した結論は『引退』でした…
3年間、追いかけ続けた『競走馬・ルーラーシップ物語』は、残念ながらハッピーエンドを迎えることはできませんでした。