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2016/11/09 13:59
■円高圧力 加えて、ニッポン経済を
■円高圧力
加えて、ニッポン経済を襲うのは円高圧力である。
アベノミクスは異次元緩和や黒田バズーカによってマネーの供給量を増やし、円安を誘導してきた。ところが、“ヒラリー政権”はそれに待ったをかけるという。
「すでにアメリカは、中国やドイツとともに日本を為替操作の監視リストに指定しています。要するに、アベノミクスを根本から否定しているのです」
と先の田代氏が言えば、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、
「今年6月にパナマ運河の拡張工事が終わり、アメリカは来年から本格的にシェールガス輸出へと乗り出します。これまでの3倍近い積載量の大型船が通航できるため、シェールガスの輸出基地が置かれるメキシコ湾からアジアに向けた直接運航が可能になったのです。ただ、言うまでもなく、この分野では中東やロシアが強く、アメリカは新参者。輸出競争力を高めるためにもドル安にシフトすることは避けられない」
では、ヒラリーが政権を握ると、どれほどの円高に見舞われるのか。
「それは彼女の最初の一般教書演説次第でしょう。オバマは10年1月の一般教書演説において“5年間で輸出を倍増し、200万人の雇用を創出する”という方針を打ち出した。結果、為替はドル安に振れ、10カ月後には1ドル=80円台まで円高が進んだ。ヒラリーの言動次第では同様の影響が出かねません」(同)
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■“天気予報的外交”
トランプやサンダースの亡霊に足を引っ張られ、自国びいきな政策に終始するしかない“ヒラリー政権”。その煽りを受け、茫然自失となるニッポン経済の姿が目に浮かぶ。
だが、外交ジャーナリストの手嶋龍一氏はこう喝破するのだ。
「“アメリカの新しい大統領は、日本に厳しい姿勢を打ち出すのではないか”と考えること自体が“天気予報的外交”なのです。日米関係は、外交の力で変えることができ、人力ではどうにもならない大自然の天候とは違います。現に日本は中国に次ぐ経済大国であり、アメリカにとって東アジアの最重要の同盟国です。TPPにしても、安倍総理が“再交渉には応じない”と断言したことで、ヒラリー候補にスタンスを変えさせ、批准に向けて議会を説得するためのカードになっています」
所得格差に不法移民と、大統領選で病理が露見したアメリカを前に、途方に暮れるだけではニッポン経済にも未来はあるまい。
特集「『ヒラリー』新大統領で途方に暮れる『ニッポン経済』」より
「週刊新潮」2016年11月3日号 掲載