競輪
98件のひとこと日記があります。
2013/06/28 22:14
福山エース樋本元デスクのレースレポート 94福山ダービー編
福山競馬が廃止されて樋本デスクのレースレポートが更新されることがなくなり、何となく物悲しいですな。
あのワンパターンで首を傾げたくなる微妙な誇張表現ながら、独特なクセが何となく楽しみだったものです。
昔のレースレポートですが、この頃には既に樋本節はだいたい完成されていたようですね。
以下、94福山ダービーのレースレポートを原文ママ↓
“兄弟制覇”の夢とロマンを乗せた熱い興奮が白一色に染まったスタンド全体を包み込む。平成6年度のセカンドステージを彩る'94ダービーは熱き血の傑作アサリュウキング一色に塗りつぶされた。場内を埋めたほとんどの視線は5年前、不敗のままダービーをクリアし、天才的なスプリントで楠賞のヒノキ舞台を鮮やかに舞ったあの兄アサリュウセンプーの幻影を脳裏に描きながら感動的瞬間、その時を待っていた。
単勝支持率45％は兄の48％と肩を並べるほどの異常人気。兄の成し遂げたダービー、そしてアラブ4歳日本一という晴れ姿を夢見るファンの願いが弟の激走に込められていた。絶好の1番枠から苦もなくハナを制したアサリュウキング。2、3番手にピアドタイトル、ジョージハンターを引き連れて、これ以上は落とせないといった超スローの逃げを打つ。中段待機の人気どころのミナミセンプウ、スイセイリンボーはあまりのスローに動こうにも動けない。
向こう正面を先頭で通過する白い帽子の勝利を信じて疑わないスタンドから嵐のような歓声が沸き起こる。が、アサリュウキングの疲労は極限に達していた。ダービーの前哨戦「キングカップ」で9馬身もの圧勝、前走B2戦でオープン候補生フクノレイオーを渾身の力で振り切った反動が三分三厘からのペースダウンとなって表われる。ピアドタイトルが外から迫る。内らち沿いにジョージハンターもスルスルと忍び寄る。後続各馬は前3頭から大きく引き離されて全く競馬にならない。歓声が悲鳴に変わる。「とにかく勝ってくれ!!」。片桐騎手の神に祈るような願いもアサリュウキングには通じることなく、ゴール50�辰�ピアドタイトルに体半分のビハインドを余儀なくされた瞬間、ファンの悲鳴はタメ息となってポツリと消えた。
白津調教師と肩を抱き合って喜びをわかち合う嬉騎手。狂喜乱舞するピアドタイトル陣営とは対照的に片桐騎手は唇をかみしめながら「最高のペースで負けたのだから仕方ありません。むしろあの状態で2着に踏ん張った根性をほめてやってください」と汗にまみれたアサリュウキングの労をねぎらった。
華麗なる一族の大いなる野望は幻に終った。アサリュウキングは疲れ切った体をいやすべく、生まれ故郷の北海道で秋まで放牧。再起の日をじっと待つ。
- セカンドステージ
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