1584件のひとこと日記があります。
2023/05/08 19:02
日本大種牡馬列伝その10【トサミドリ】
牝馬ながら天皇賞・有馬記念を制した希代の名牝ガーネット(父トサミドリ)を生み出した名生産者畑江五郎氏のエッセイに次の様な一節があります。
「終戦後、シベリアから復員し、府中のパドックで初めてトサミドリを見た時、我が国でもこれだけの馬がとうとう生産出来る様になったのかと感嘆した。日本生産界80年の結晶がトウショウボーイなら、トサミドリは50年の結晶と言えるだろう。」
国営競馬時代から1970年初頭にかけて、内国産種牡馬の雄として生産界を支え続けた名馬、それがこのトサミドリです。
競走馬としては、不可解なダービーの敗戦が無ければ、兄のセントライトに続き間違いなく3冠馬になっていた程の卓越した馬でしたが、種牡馬としては兄を大きく凌駕した大種牡馬となりました。
クラシックの勝ち馬だけでも、キタノオー(菊花賞・天皇賞)、ガーネット(天皇賞・有馬記念)、トサオー(天皇賞)、コマツヒカリ(ダービー)、キタノオーザ(菊花賞)、ホマレボシ(有馬記念)、ヒロキミ(菊花賞)等を送り出し、重賞勝ち馬は数え切れぬ程輩出、内国産種牡馬としては歴史に名を残す大成功を収めました。
血統は、父が日本生産界黎明期の大種牡馬プリメロ、母はこのトサミドリ以外にも3冠馬セントライトやタイホウ、クリヒカリ等のクラシックホースを次々と輩出した「日本生産界に於ける史上最高の名繁殖牝馬」として名高いフリッパンシーと言う超良血で、この優れた血脈の通りの名馬に成長したのがこの馬だと言えます。
どちらかと言えば卓越したステイヤー血脈でしたが、タフで力強く、勝負強い根性の塊の様な血統で、如何にも内国産の良さを十二分に持った種牡馬でした。
特に近現代の主流血脈であるファラリス系との和合性が豊かで、それが大成功した要因のひとつだったと思われます。
晩年まで生産界の人気は高く、1972、3年頃のラストクロップの牝馬が、セリで最高値を付けた事も印象深いです。
現代でも日本古来の牝系から名馬が飛び出すと、血統表の何処かにトサミドリの名前が見られるケースが多く、最早伝説の馬とは言え、その影響力は衰えていません。
時代を超越した名馬だったと思います。
-
KAGA-1さん
JRAは名馬のメモリアルレースを作りたがらない組織で、本来ならメモリアルレースになってもおかしくない名馬も殆どレース名になっていません。
欧米は大概の名馬はメモリアルレースになっていると言うのに…
クモハタ記念もカブトヤマ記念もいつの間にか無くなってしまいましたし…
別にスポンサーになっている訳でもないマスコミ関係等のレースは幾つもありますが(苦笑)
如何にもお役所仕事そのものですね。情けないです。
競馬の原点は馬そのものである、と言う発想が希薄で、あくまでも博打の駒的発想なのでしょう。
日本古来の名血を持つ馬は、ここ一番での底力を発揮し、大一番で爆発する馬が多い様な気がします。
マルシュロレーヌ等は本当にロマンがありますね。
ゴールドシップ等もそうですが。
シラオキ系などは後世まで大切にして行きたいものです。 -
KAGA-1さん
キョウエイマーチの母母母母父にいますね。
3番仔のトライアンフマーチ(父スペシャルウィーク)が種牡馬入りできなかったのは残念でしたが、
唯一の牝馬産駒で、初仔のヴィートマルシェが繋いでくれたので、マルシュロレーヌの快挙へと…。
代こそ経ていきますが、日本にずっと残っていきそうな血ですね。
産駒の中央1135勝は、フジキセキに更新されるまで、内国産馬の産駒最多勝利記録だったんですね。
トサミドリ記念とか、有っても良さそうですが。 -
KAGA-1さんがいいね!と言っています。