物語の始まり

物語は、いつも突然始まり、唐突に終わるものです。
そう言って不都合であれば、それは偶然始まり、理由もなく終わるのです。

東京ＪＲの四ツ谷駅をおりて、目の前の新宿通りを渡ると、すぐ前に江戸城の外濠の土手があります。その右手は江戸城の外郭をめぐる外濠で、ぐるりと城を守っていたのでした。
もっとも現在は大部分が埋め立てられて、道路や公園やらグランドに変わっていて、城の堀の面影はもうほとんどなくなっています。

ただその土手は、管理人によってよく整備され面影を残しています。
春には桜並木が花を咲かせ、花見の隠れた名所です。
さらに、知る人ぞ知る猫の隠れた名所でもあるのです。
その先には、当時の面影をよく残していると言われている弁慶掘があります。
弁慶掘の名は、そこにかかっている弁慶橋からきています。

さて昔外濠、今セントソフィア（日本名上智大学）のグランドの小さな小屋（おそらく器具倉庫なのでしょう）で、去年の五月、三匹の猫が生まれました。
長兄は弁慶、次女、三女はそれぞれ、サクラ、ソフィアと命名されました。

（念のため、これはフィクションではありません。あと一回は書かせて下さい）