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2013/05/29 15:48
訃報
競馬と出会う以前の私は『馬刺し』を食す事に何ら抵抗がありませんでした。
コンビーフはむしろ好物でした。
競馬を始めるようになり、予後不良となった競走馬を初めて見た時の衝撃は今でも覚えています。
そして、一流馬の故障だけではなく、この世に産まれてきたサラブレッドの大多数が『殺処分』になる事実を知った時……自分の無力感を知りました。
競馬新聞を座布団代わりに敷いてはいけない、馬頭観音の前では必ず手を合わせる、馬肉は食べない……そんな掟を自らに課し、厳しい現実から逃れられている錯覚で気を紛らわしていました。
結婚して女房の両親にご馳走として馬刺しを振舞われた時、私は自分のくだらない見栄から掟を破り、あろう事か『美味しいです』とまで言いながら肉を口にしたのです。
その翌日にライスシャワーが淀に散りました。
私に過失が無い事くらい理解しています。
しかし、つらい現実を受け止められませんでした。
ホクトベガが非業の死を遂げた際も同じようなものです。
それ以来、何頭もの競走馬が命を落とし、徐々に私はドライになってきています。
赤の他人である私ですらこれ程までにつらいのです。
まして、家族同然の関係者、スタッフの思いはいかばかりか……とてもではありませんが『安易な批判』など口に出来ません。
心よりジョワドヴィーヴルのご冥福をお祈り申し上げます。