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2015/12/08 10:35
武豊のコメント
チャンピオンズCの翌日の新聞に、コパノリッキーに騎乗した武豊騎手のコメントが載っていました。その内容が私には意味不明でした。
「1,2コーナーで意味のない絡まれ方をした。そこで無駄な足を使ったのがこたえた。弱点が出たが、絡んできた馬は15,16着。言いたいことはいろいろあるけど…」と武豊は納得いかない表情。(スポーツ報知より)
絡んで来たのは15着のクリノスターオー(ボウマン騎手)と16着のガンピット(パートン騎手)です。おそらく武豊騎手は、「力もないのに有力馬に絡んでくるんじゃねえよ。邪魔なんだよ」と言いたかったのかもしれません。しかし、それは自分勝手な考え方で、日本の狭い競馬サークルでは通用しても、世界の競馬ではそんな甘い考え方は通用しません。
世界では強い馬や人気馬には容赦なくプレッシャーをかけてきます。ときには自分は負けてもいいから、相手を勝たせないといった嫌がらせに近いことをやってくる場合もあります。
例えば、ディープインパクトが参戦した凱旋門賞では、前半超スローペースに落とされて、最後の1000mは56秒というまるでスプリント戦のような、およそディープインパクトには不利な展開にされてしまいました。他の有力馬もこの展開は嫌だったのですが、とにかくディープインパクトを勝たせないということで、ディープインパクト包囲網ができていたのでしょう。
また、ジェンティルドンナが参戦したドバイシーマクラシックでは、道中からいろいろな馬にプレッシャーをかけられ、特に最後の直線では外の馬が斜行してまで進路をふさいできました。
このように反則ぎりぎり、ときには反則を使ってでも勝たせないといったプレッシャーがあるのが世界の競馬です。それから考えると、今回のボウマン騎手やパートン騎手の絡みは当然と言えるものです。それによってペースが上がり、迫力あるレースが展開されたのだと思います。
武豊騎手は「1コーナでほぼ隊列が決まった(ハナ争いは終わった)のだから、そこから無理に絡んでくるんじゃないよ。おとなしく2,3番手を追走して来いよ」と言いたかったのだと思います。もし、そうなれば、最後の直線はコパノリッキー、ホッコータルマエのマッチレースになったと思います。サンビスタやノンコノユメの追い込みは届かなかったでしょう。
いままでのJRAでは「暗黙の了解」があり、「先輩への配慮」がありました。それが地方騎手や外人騎手の参戦で崩れつつあります。どこで誰が何をしてくるかわからない。その時どんな対応を取ればいいのか瞬時に判断しなければならない。これからの騎手はそんな高度な判断力が問われるのではないでしょうか。「馬が気分良く走れるように折り合いをつけて…」なんてのん気なことは言ってられないと思います。「公務員騎手」の時代は終わったということです。


