ダービーローテーション

２０１７年、ダービーまでの３歳重賞（１６００ｍ以上、牝馬限定を除く)
１月８日、シンザン記念（Ｇ３）、京都１６００ｍ
１月１５日、京成杯（Ｇ３）、中山２０００ｍ
２月５日、きさらぎ賞（Ｇ３）、京都１８００ｍ
２月１７日、共同通信杯（Ｇ３）、東京１８００ｍ
２月２５日、アーリントンＣ（Ｇ３）、阪神１６００ｍ
３月５日、弥生賞（Ｇ２）、中山２０００ｍ
３月１９日、スプリングＳ（Ｇ２）、中山１８００ｍ
３月２５日、毎日杯（Ｇ３）、阪神１８００ｍ
４月８日、ニュージーランドＴ（Ｇ２）、中山１６００ｍ
★４月１６日、皐月賞（Ｇ１）、中山２０００ｍ
４月２９日、青葉賞（Ｇ２）、東京２４００ｍ
５月６日、京都新聞杯（Ｇ２）、京都２２００ｍ
★５月７日、ＮＨＫマイルＣ（Ｇ１）、東京１６００ｍ
★５月２８日、日本ダービー（Ｇ１）、東京２４００ｍ

各調教師、各馬主は上の日程表を見て、自分の馬をどのレースで使うかを考えます。以前は、まず皐月賞を目標にしてローテーションを考えるのが基本でした。しかし、ここ数年、ダービーだけを目標にして、皐月賞の前にレースを使わないでぶっつけで使ってきたり、皐月賞をパスする有力馬がでてきました。

以前にもキングカメハメハやディープスカイのように、皐月賞をパスして、ＮＨＫマイルＣ→ダービーというローテーションを組んできた馬もいましたが、それはあくまでも例外でした。

キングカメハメハ：すみれＳ→毎日杯→ＮＨＫマイルＣ→ダービー
ディープスカイ：アーリントンＣ→毎日杯→ＮＨＫマイルＣ→ダービー

なぜこのような傾向になってきたかというと、それは皐月賞とダービーの賞金の変化が関係あると思います。

皐月賞の賞金は、１９９５年ジェニュインが優勝した年に９７００万円に増額されたあと、長い間据え置かれ、２０１６年に１億円に増額されました。

一方、ダービーは１９９５年タヤスツヨシが優勝した年に１億３２００万円に増額され、２００１年ジャングルポケットの年に１億５０００万円、２０１３年キズナの年に２億円に増額されています。

皐月賞の賞金が長い間据え置かれているのに対し、ダービーの賞金は近年急激に増額されています。これは、ダービーの権威を高める狙いがあります。それによって皐月賞の賞金は減額はされていませんが、その権威が相対的に落ちたと考えられます。

ＪＲＡはダービーを特別なＧ１と位置付け、皐月賞は並のＧ１に格下げしたということです。もはや調教師や馬主の間では、クラシックはダービーだけで、皐月賞は賞金の面ではクラシックとは言えないと思っている人がいると思います。

このために、皐月賞をたたき台のレースと考えたり、ダービーのために皐月賞をパスするという現象になって現れたと考えられるのではないでしょうか。

今年のダービーの主な有力馬のローテーションは、
◆アドミラブル：3/5未勝利→4/1アザレア賞→4/29青葉賞→5/28ダービー
未勝利を勝った時点で皐月賞の出走はほぼ不可能なので目標をダービーに定めたのだと思います。勝ち上がりが遅いタイプです。「皐月賞間に合わなかった型」。

◆アルアイン：1/8シンザン記念→3/25毎日杯→4/16皐月賞→5/28ダービー
「王道路線」。

◆レイデオロ：12/3葉牡丹賞→12/25ホープフルＳ→4/16皐月賞→5/28ダービー
ホープフルＳのあと３か月半休ませて、ぶっつけで皐月賞に出走させている。これは「皐月賞叩き台型」。

◆サトノアーサー：12/4シクラメン賞→2/5きさらぎ賞→3/25毎日杯→5/28ダービー
きさらぎ賞２着、毎日杯２着で賞金を加算してダービー出走を確実にすると、皐月賞をパスしてダービーに向けてじっくり調整。これは「皐月賞パス型」。

今後もこのように皐月賞の出走にはこだわらず、各陣営の思惑でいろいろなローテーションが組まれてくると思います。以前はほとんどの有力馬が皐月賞に出走してきたので、皐月賞の結果である程度ダービーも予想できましたが、今後はいろいろな路線からダービーに有力馬が集まって来るので、予想が難しくなるでしょう。