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2018/06/06 16:54

小説 不思議な体験 連載2

今日も競馬場に来ました。無意識に彼女を探しています。この前はらち沿いにいました。僕はらち沿いをずっと歩きました。でも彼女はいませんでした。この前、負けが込んで、最終レースで彼女が言った馬の単勝を買ったら、的中して損をしないで済みました。でも、そんなことはどうでもいいのです。とにかくかわいいし、僕に笑いかけてくれた。もう一度会いたい。

今日は7Rから始めて、いつものように軸馬を決めて6点流す。1点500円で合計3000円。10Rが終わって1勝3敗。トータルでマイナス6000円。いよいよメインレース。いつものように5000円勝負。1番人気の馬から馬単で5点、各1000円ずつ。16頭立ての4番。芝2000m。

レースが始まった。4番はスタート直後に後ろに下がる。どんどん下がって最後方。おいおい、そんな後ろでいいのかよ。向上面でも最後方。まあ、2000mだから最後の直線で差し切ってくれれば文句はないよ。1000m通過。まだ最後方だよ。コーナーを回って残り600m。まだ最後方。最後の直線。大外に出した。そこからぐんぐん追い込んで来る。残り200mで先頭から6馬身まで迫ってきた。差せー、差せー。大声で叫んだ。先頭との差がグングンちぢまってくる。残り50mで差して、そのままゴールイン。やったー。勝った。

ところで2着は? 15番の馬だ。買っていない。13番人気の馬が来た。馬単15590円の万馬券。取り損ねた。でも俺は穴はあまり買わないから仕方ないか。運がない。軸が当たればひもが来ない。ひもが来ると軸が当たらない。つくづく俺は買い方が下手だ。これでトータル、マイナス11000円。最終レースに賭ける。

彼女いないかなあ。らち沿いを探していると、いた。彼女が立っていた。こちらを見てニコとした。僕が近づいていくと手を振ってくれた。「この間はどうも。」「…。」「馬券が当たりました。あなたが言った馬の単勝を買ったら当たったんですよ。」「そうですか。それは良かった。」「今日も調子が悪いんです。どの馬が勝つと思います。」「どの馬が勝つかは分かりませんが、私は15番の馬を応援します。」15番か。4番人気で単勝9.5倍。なかなかおいしいなあ。よし、買ってみるか。「その馬を買ってみるよ。」「そうですか。じゃあ頑張ります。」ぼくはさっそく券売機の所まで行って15番の単勝を5000円買った。そして、元の場所へ戻ると、そこにはもう彼女はいなかった。

最終レース、ダート1600m、16頭立て。スタート。16番が先頭に立って逃げる。15番はどこにいるんだろう。いたいた。中団の前にいる。8番手だ。レースはそのまま進んで4角を回った。15番は先団の後につけてきれいに4角を回ってスムーズに外に出した。でも、先頭から7,8馬身後方。懸命に追い込んで来る。でも、届かないだろう。そう思っていると、そこからじわじわ伸びてくる。東京の直線は長い。残り200mから先頭との差がどんどん縮まる。そして、ゴール直前差し切った。うそだろ。勝ったよ。

払い戻しは、5,000円×9.5=47,500円。トータルで31,500円の黒字。やばい。勝ってうれしいのだが、なにかぞっとする。彼女は超能力があるのかなあ。いや、幽霊かもしれない。でも、幽霊にしてはリアルすぎる。レースが始まるといなくなるのも不思議だ。まさか馬の霊か。彼女は馬の霊なのか。ぼくは我を忘れてらちの所で立ち続けた。帰りの群衆が収まったころ、やっと我に返って帰りの途についた。

とにかく彼女が言う馬を買えば当たる。競馬場に来たら彼女を探そう。そして、名前、連絡先を聞こう。そう思った。しかし、その後数回競馬場に行ったが彼女には会えなかった。ぼくの赤字も膨らんでいった。そして、オークス、ダービーが終わり、東京開催もあと4週だ。もう彼女には会えないのか。そう思っていたら、ついに見つけた。また同じ場所に彼女がいたのだ。

つづく

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    2018/06/07 02:57 ブロック