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2018/10/16 11:32
山田敬士騎手の距離錯誤事件
それはもはや「事件」と呼べるものだった。その事件は10月13日、新潟6Rで起こった。2番人気の馬に乗った山田騎手は、スタートから先頭に立ち、1週目のホームストレッチでむちを入れてスパート。そのまま他馬を引き離してゴール板を通過した。しかし、このレースは2500mで、レースはもう1周残っていた。1角過ぎからウイニングラン(?)をしていた山田騎手は向上面で距離錯誤に気づき、馬群に戻ったが、馬には余力がなく、最下位でゴールインした。つまり、山田騎手は2500mのレースの距離を1000mと錯誤していたのだ。
山田騎手は今年の3月にデビュー、これまで7勝を上げている。JRA競馬学校の卒業生だ。
このミスは、手綱やムチの使い方や、位置取りやコース取りなどの騎乗技術でのミスという次元ではなく、騎手としての自覚におけるミスと言える。また、公正な競馬への信頼を著しく揺るがすミスでもある。
現在、制定委員会が開かれ、彼への処分が検討されている。暫定処分として、裁定が出るまでの騎乗停止処分が科されている。騎乗停止はふつう、翌週から科されるのだが、今回は翌日の日曜日から騎乗停止となった。JRAも事の重大さに気づいているようだ。それではなぜこのような考えられない事件が起こってしまったのか。それを追求しないと、ただ過失者に重い罰を科しただけでは、事件の再発防止はできない。
現在、JRA所属の多くの騎手が、JRA競馬学校で教育を受けた。どうやらここに間接的な原因があるようだ。10月16日現在、騎手リーディングは1位ルメール、2位デムーロ、3位戸崎となっている。この3人はすべてJRA競馬学校以外の出身者(以下外部出身者)だ。最近、同じく外部出身者のモレイラが騎手試験で不合格になった。もし合格していたら、リーディング上位に名を連ねるだろう。
なぜ、JRA競馬学校出身者には強い馬の騎乗依頼が少ないのだろうか。強い馬の騎乗依頼を受けるには馬主から信頼されなければならない。レースの距離を間違えるような騎手を馬主が信頼するだろうか。山田騎手ほどひどくはないが、JRA競馬学校出身騎手に彼のような気の緩みがあるのではないか。
JRA競馬学校の2018年の卒業生は山田騎手を含めて3名である。そのすべてが騎手免許試験に合格している。つまり、競馬学校を卒業すれば、免許が取れて、騎手になれるのである。プロ野球で言えば、球団に入団すれば、すぐ1軍の公式戦のベンチに入れるようなものである。
プロ野球の世界は、中にはそんな選手もいるが、多くの新人はまず2軍で練習をして、試合で使ってもらい、実績を上げて1軍に昇格する。実績が出なければ2軍のままである。しかし、1軍に上がっても実績を残せないと、すぐ2軍に降格してしまう。下手をすると戦力外通告を出されることもある。
JRA競馬学校出身騎手にそんな危機感や緊張感があるのだろうか。競馬学校に入学さえすれば、少数の生徒と多くの先生に囲まれて、至れり尽くせりの指導を受けられる。競争の無い生ぬるい環境にいるのではないか。学校を卒業しさえすれば、簡単に騎手になれる。
簡単に言うと、現在のJRAの騎手養成は、少数主義、保護主義のもとで行われている。これでは天才と呼ばれるような世界に通用する騎手は現れない。多数主義、競争主義の中から始めて世界に通用する騎手が出てくるのだ。そのような見方で競馬学校の改革をして欲しい。
最後に、ファンは金を払って馬券を買っている。たとえ少額でも金には命がこもっている。騎手も、レース前からしっかりレースプランを立ててレースに臨んでほしい。山田騎手はこのレース前にどれぐらいこのレースのことを考えたのだろうか。どんな位置取り、どんなペース配分、マークするべき相手などを考えたのだろうか。もし考えたのなら、2500mのレースを1000mのレースと間違えるはずはないと思う。
おそらく、現在、山田騎手に対して、JRAから騎手免許の自主返納の説得が行われているのではないか。
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ホワイトヤンキーさん
この件に関するニュース記事への投稿が消された。コピーしておけばよかった。何で日本のマスコミは騎手をかばうんだろう。ミスはミスとしてしっかり批判しないと、日本人騎手の技量向上につながらないと思うんだけど。やはり狭い競馬社会の暗黙のルールみたいなものがあるみたい。
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ホワイトヤンキーさん
shiningさん、こんばんは。
競争主義にも保護主義にもそれぞれ欠点があります。欠点の無い制度はないということです。競争主義の課題は、落ちこぼれた(はじかれた)人間をどう保護するかです。違う道を進む者には高校卒業資格の取得を援助するとか、再就職の斡旋をするとかあると思います。また、はじかれた者が再度チャレンジできる道も用意する必要があります。野球の場合、高校を卒業してプロへ行く道があります。スカウトされなかったり、自信がなければ大学や企業へ進み野球を続ける。つまり、大学や企業が受け皿になっています。騎手も競争ではじかれた者が騎手を続けられるような受け皿が必要です。そこで技術や精神力を磨いて再度チャレンジする。日本人には騎馬民族の血が流れているはずです。天才的騎手が現れないはずがありません。やはり制度に問題があると思います。 -
競争させた方が技術の高い騎手は当然出てくるわけですが、学校内で競争させた場合、弾かれてしまう人も出てくるわけで、そういった人の受け皿も必要な気がします。
競馬学校のイメージですが、中学卒業時点で入学することが多いと思っているので、競争にして弾かれた場合、弾かれた人は中卒という肩書きしか残らなくなってしまう。そうなってしまうのはちょっと危険かなと思います。 -
メンタイコ・来なんさんがいいね!と言っています。
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オイルポンプさんがいいね!と言っています。
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湘馬太郎さん
同感です。フォローさせてもらいます

