スズカのことPART1

この話題は避けてきましたが、もういい年なので、ここらで一度、自分の頭を整理するために一番好きな馬のことを振り返っておきます。

?デビュー前から新馬戦まで?

サイレンススズカが橋田満厩舎に入厩したのは1996年の冬。同期には今種牡馬として大ブレイク中のステイゴールド、生粋のステイヤーのメジロブライト、そして短距離最強との呼び声も高いタイキシャトル（この子との対決も見てみたかった…）など。一つ上の世代が女傑エアグルーブ、天才バブルガムフェローなど。そして一つ下がいわゆる「最強世代」。ブエナビスタの父スペシャルウィークを筆頭に、芦毛の逃げ馬セイウンスカイ、外国産の怪物グラスワンダー、そして後に凱旋門賞を僅差の2着に好走するエルコンドルパサーといった強豪がひしめく超ハイレベルな世代で、つまりスズカは、上も下もなかなかの強者ぞろいの時代に生まれた子でした。

デビューは年が明けてからの2月。入厩直前にどこかに足をぶつけてしまったとかで一頓挫あり、かなり遅めのデビューとなりました。通常ならクラシックには間に合わないタイミングですが、スズカは新馬戦の前から関係者の間では相当な注目を集めていたようです。デビュー前の若駒なのに、坂路調教で古馬並みのタイムを叩き出していたなんて逸話もあります。

そうして迎えた新馬戦時の馬体重は436キロ（けっこう小っちゃい）、鞍上は上村騎手。調教でかなり評判になっていたため単勝は1.3倍の断然一番人気でした。ここでスタート直後から他馬を引き離し、終始持ったままで7馬身差の圧勝劇を演じたことで、一気に注目度が上がることとなります。私がスズカのことを知ったのもこのときで、一発で惚れてしまったものです。

スズカの世代は前年、前々年にクラシック戦線で猛威を振るったサンデーサイレンス産駒の素質馬がまだ出てきていなかったため、「遅れてきたサンデーサイレンス産駒の大物」という感じで、競馬雑誌とかでも大々的に取り上げられていました。うろ覚えですが、何人かの調教師や騎手の方も、スズカの新馬戦を見て「ダービー馬は決まった」なんてコメントを残していたはずです。

私は当時高校生だったのですが、この時期にダビスタがきっかけで競馬が好きになった友人たちと、スズカの新馬戦についてよく話していたのを思い出します。とにかく着差のインパクトと雑誌などでのベタ褒めぶりが凄くて、まだデータとかラップとか全然知らなかった私は、それだけで「すげえの出てきたよ、皐月もダービーも全部持ってかれちゃうよ」などとみんなに吹いていました。競馬を知らない友人にも「サイレンススズカっていう名前は覚えといた方がいい」みたいなことをドヤ顔で言ってましたね。後々スズカが成功したときに、この馬に最初に目を付けたのは俺だ、っていうのを自慢したかったんでしょうね。全部雑誌とかの受け売りでしかないのに、もうなんかただのイタい高校生です。もしあの頃にこういう掲示板があったら、スズカの板に目も当てられないようなイタイタしい書き込みを繰り返していたでしょう。あのときの私は新馬戦を見ただけで、狂信的と言ってもいいほど、この先一度たりともスズカが負けるはずはないと思い込んでいました。

いま思えば年明け2月デビューの馬なんてクラシック戦線に乗ってくるのさえかなり難しかったはずなんですが、あの頃はピュアだったなぁ…