ワキアの血

ラスカルスピードの父親、ラスカルスズカは言わずと知れたサイレンススズカの弟なんですが、現役時代はスズカとは全く違うタイプの競争馬でした。

なにより違うのはその性格。鞍上の指示にとても従順で、テンも遅くないので思い通りの位置に付けることができる。息を入れるのも上手なのでスズカよりも距離適性が断然広く、春天と阪神大賞典ではテイエムオペラオーの2着に来ています。個人的にはスペシャルウィークが勝ったジャパンカップで、3歳でありながら5着に来た時のことをよく覚えています。

自由奔放な兄の反動で生まれた「優等生」。危険な香りを周囲に撒き散らしながら常に誰よりも目立っていた兄とは違い、弟は馬群の中で我を殺し、周囲とうまく折り合いを付けながら走れる子でした。バイトの面接とかで気に入られるのは間違いなく弟の方でしょう(笑)自分の中ではそんなイメージです(^^;)

しかしそんな優等生のラスカルも、これからというときに屈腱炎を発症してからは思うような走りができなくなってしまいました。

この「これから」という時にアクシデントに見舞われるのがこの血の宿命なのかもしれませんね。でもスズカやラスカルのそういう悲運を味わったおかげで、今では応援している馬がレースで負けたり、思うようにレースに使えなかったり、はたまたクラシックは断念！みたいな展開になっても、あまりへこまなくなりました(^^;)

上手く行かないのが競馬の常。そのことを嫌というほどスズカとラスカルから学んだので、少々のことではヘコまないんです。だから例えばジョーダンやシップが負け続けてても、正直そこまで気にならないし、ぶっちゃけそんなに落ち込むこともない(笑)元気に走り続けてさえいてくれれば、大抵のことは我慢できるんで。

競争馬としての晩年は良い成績を収められなかったラスカルスズカが、種牡馬になったと聞いた時にはやはり嬉しかったです。ワキアを軸にするその血統背景が生産地の間では意外と評価が高かったようです。それほど種付け頭数は多くありませんでしたがマイル?中距離で活躍する子が多かったように思います。

現役馬ではサンレイレーザーが実績一番手ですが、ラスカルスピードはレーザーよりも長い距離が行けそうで、しかも永井＆橋田さんというコンビの馬。スズカとはまったく違うタイプの馬だったとは言え、その弟の子供がこういうことになってしまうとスズカのことを思い出さずにはいられません。自分のようにスズカにとりつかれてしまった人は例外なくそうでしょう。

できれば次にスズカのことを思い出すときは、スズカデーの時のように何かもっと別の形になればと思いますが、そう上手くはいかないのが競馬の常。でも「スピード」という象徴的な意味の言葉が名前に入った子だから、向こうではきっとスズカと気が合うでしょう。

小さく丸っこくなった最近の橋田さんの様子を、スズカに伝えてくれればと思います。