この秋は譲れない！天才と少女最後の1冠獲りへ好発進〜2005年ローズＳ

もう一つ忘れられないローズＳがあります。それが2005年です。この年の牝馬はラインクラフト、シーザリオ、ディアデラノビア、そしてエアメサイアと現在母としても大活躍中の名牝達の競演した豪華な年でした。

その中で自分が一押しだったのは武豊騎手主戦のエアメサイアでした。エアメサイアは父サンデーサイレンス、母エアデジャブーと言う良血馬。なんといってもエアの勝負服に武豊。それだけで感慨深いものがありました。

エアメサイアはデビューから4戦2勝2着1回3着1回と言う成績でクラシックへ駒を進めました。

しかし桜花賞でラインクラフトの4着、続くオークスではシーザリオの2着に敗れ春のクラシックは無冠に終わりました。

そして迎えた秋初戦。最後の1冠だけは譲れない。そんな強い思いを秘めて臨んだローズＳ。エアメサイアは道中6番手をキープし最後の直線で先頭に立った桜花賞馬ラインクラフトをゴール前で差し切り1/2差を付けてゴール。桜花賞馬に春の雪辱を果たしたのでした。

そして続く秋華賞ではラインクラフトをクビ差差し切って勝利。最後の1冠を見事に勝ち獲りました。

エアメサイアの勝利はこの秋華賞が最後となりました。生涯成績は12戦4勝。数字だけ見れば戦績は奮いませんがエアメサイアは12戦して一度も掲示板を外すことはありませんでした。

そして12戦その背中を武豊騎手以外に譲りませんでした。マーベラスサンデーやディープインパクトと同じく豊騎手に愛された馬なのだと思いました。

エアメサイアの馬名は冠名＋英語で「救世主」の意味。武豊を背に乗せ続けた12戦。そして最後の1冠を勝利に導いた名手はまさにエアメサイアにとって救世主だったのだと思います。

エアメサイアは2006年のヴィクトリアマイル2着を最後に現役を引退。繁殖牝馬として第二の人生を送る事となりました。

しかし多くの活躍馬を世に送り出してほしいと願っていた矢先、昨年の9月12日放牧先での事故で急死してしまいました。まだ12歳。あまりにも早すぎる急逝に心が痛みました。

今月12日に行われた新馬戦。エアメサイアの忘れ形見であるエアスピネルが武豊騎手でデビューし見事に勝利を収めました。奇しくも母の命日に競走馬としてデビューしたエアメサイアの仔が見事に勝利。とても感慨深いものがありました。

「母親の能力をしっかりと受け継いでいますね」とその素質を高く評価した武豊騎手。母の背中を唯一知っている騎手からの最大級の賛辞だと思いました。

そしてこのエアスピネルの勝利は母エアメサイアにもきっと届いたと思います。願わくばずっと豊騎手に乗り続けて欲しいです。ただ豊騎手にはポルトフォイユと言うお手馬が居るので難しいかもしれませんが・・・

画像はローズＳを買ったエアメサイアと武豊騎手。豊騎手にはやっぱりエアの勝負服が良く似合いますね。