あの日から17年・・・

Dearサイレンススズカ

貴方がターフの風になったあの日から今日でちょうど17年になりました。もう17年。そんなに経つのですね・・・月日の流れは早いものです。

貴方がターフを去ってから日本の競馬は大きく変わりました。貴方が走った東京競馬場もリニューアルされ新しくなりました。

でも17年経った今でも変わっていない物が3つあります。それは貴方が最後にその背に乗せた武豊騎手が未だに現役で居る事、自分にとって貴方を超える逃げ馬は居ない事、そして最後は貴方との時間。

17年経った今も自分と貴方との時間は4コーナーの大欅の所で止まったまま。貴方がターフを去った後幾度か東京競馬場を訪れてみましたが止まってしまった時間を動かす勇気が持てず競馬場から離れている現在の自分が今ここに居ます。

ところでここ最近貴方の耳に知らない競走馬の名前が入って来たと思います。多くの競馬ファンがその競走馬の姿に在りし日の貴方の姿を重ねています。

自分と同じ脚質の逃げ馬と言うだけで比べられるのは貴方にとってはもしかしたら迷惑な話かもしれません。しかしその馬は貴方と同じように毎日王冠を逃げて勝利し、武豊をその背に乗せて天皇賞に挑みます。

その馬の名前はエイシンヒカリと言う名前の馬です。貴方と同じ道を歩き貴方と同じ日に同じ大舞台に挑む後輩をどうか空の上から見守っていて下さい。

そして今日だけは17年前の貴方の姿とエイシンヒカリの姿を重ね合わせてしまう事を許してください。

エイシンヒカリは現在1番人気に支持されています。ただ貴方と同じ1枠1番でなかった事は自分の中では良かったと思っています。

ターフの風になった貴方へ。今日の天皇賞、どの馬よりも先頭で大欅を通り過ぎるであろう芦毛の後輩にどうか背中を押してあげてください。歓声が悲鳴に変わらない天皇賞になるように全馬の無事を見届けてください。

今日の天皇賞、4コーナーで先頭を走るであろうエイシンヒカリの10馬身以上前を走っている貴方の姿が自分には見えると思います。

「光の仔」と言う本があります。貴方の軌跡を綴った著書です。その光の名前が付けられたエイシンヒカリが貴方と武豊と競馬ファンの夢の続きを見せてくれることを多くのファンが期待しています。

今日もしエイシンヒカリが勝ったら止まったままの貴方と自分の時間がもしかしたら動き出すかもしれません。

ターフの風になった貴方へ・・・心の中で生きている貴方の為に自分は命日と言う言葉は使いたくありません。今年も大欅を通り抜ける18騎達を空の上から見守っていてください。

レースの時間にはお酒の入ったグラスをもう一つ用意しておきます。貴方と夢の続きを見届ける為に・・・

from sky