まぐれじゃなかった皐月賞。実力で証明した本物の強さ〜1997年日本ダービー

もう一つ忘れる事の出来ないダービーがあります。1997年です。サイレンススズカも出走していたこの年のクラシック（と言ってもサイレンススズカはダービーだけでしたが＾＾；）は一冠目の皐月賞から大波乱でした。

この年の皐月賞で1番人気に推されたのは後に天皇賞（春）を勝つ事になるメジロブライト。2番人気は弥生賞を制したランニングゲイルでした。

しかし結果は馬連51,790円の大波乱。大波乱の立役者となったのは大外枠の11番人気サニーブライアンでした。サニーブライアンの脚質は逃げ。しかしサニーブライアンはスタートダッシュがあまり良くない馬でした。その為主戦の大西騎手はレース前から外から包まれない大外枠を希望。

その思惑通りに大外枠を引いたサニーブライアンはテイエムキングオーにいったんは先頭を譲るも3コーナーで先頭に立ちシルクライトニングをクビ差振り切って勝利。見事にクラシックの一冠目を制しました。

しかし世間の評価はサニーブライアンにとって屈辱とも言える厳しいものとなりました。メジロブライトやランニングゲイルら同レースの上位人気馬が揃って差し、追い込み脚質だった事もあり、サニーブライアンの勝利は「後方待機していた馬が牽制しあい、また不利を受けたことによるフロック」という評価が大半だったのです。

皐月賞を制し唯一三冠馬となれる資格を得たサニーブライアンは迷う事無くダービーへの出走を決意。しかし皐月賞馬でありながらダービーでサニーブライアンは6番人気でした。これは皐月賞がフロックだと言う事を競馬ファンが突き付けた厳しい現実でした。

そして迎えたダービー。かねてから「逃げ宣言」をしていた大西騎手とサニーブライアンはためらうことなく逃げを打ちます。サニーブライアンはややスローの絶妙なペース配分で逃げて最後の直線へ。他の有力馬達が一斉にサニーブライアンに襲い掛かりますがサニーブライアンの脚色は鈍る事はありませんでした。

サニーブライアンは追い込んで来たシルクジャスティスの追撃を1馬身差凌ぎ切ってゴール。クラシック二冠を達成しました。この時のダービーのゴール前の実況は今も忘れることなく耳に残っています。

フジテレビの三宅アナはゴール入選直前で「これはもう、フロックでも、なんでもない！サニーブライアン二冠達成！」と叫びました。また主戦の大西騎手はレース後のインタビューに「評価はどうでもよかった。1番人気はいらないから1着だけ欲しい、と思っていました」と答えました。

皐月賞は決してフロックじゃなかった！この時は6番人気にしてしまった事に対してサニーブライアンに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そしてここまで来れば夢は大きく膨らみます。あのミホノブルボンが成し得なかった逃げ切りによる三冠達成。自分はサニーブランの夢に乗っかろうと決めました。

陣営も菊花賞で三冠を目指すことを決意。しかしサニーブライアンはレース中に骨折していたことが判明し菊花賞の出走は断念する事となりました。更に骨折の後復帰を目指していた調教中に今度は屈腱炎を発症。結局ダービーを最後にサニーブライアンはターフを去る事となりました。

ブライアンズタイムはクラシックに本当に強いのだと思い知ったサニーブライアンの逃走劇。そして菊花賞に出て欲しかった。菊花賞では今度こそファンも1番に気にするだろう。そう信じていただけに残念でなりませんでした・・・

画像はダービーのサニーブライアン。「逃げの大西」のキャッチフレーズはこのコンビから誕生しました。人気しなかったけど本当に強い二冠馬でした。