あの時の函館記念〜「函館マイスター」エリモハリアー〜

良く、競走馬の世界において３連勝をする馬が居たら相当強い馬だと思って良い。こんな言葉を聞きます。

戦う相手、違うコース、違う斤量。1戦毎に違う条件で連勝を重ねるという事は並みの馬では出来ない事。

これを「同一重賞の連覇」と言う項目に置き換えてみると・・・それがどのくらい大変な偉業であるかがわかる。

今週は函館記念。真っ先に浮かんでくる馬がエリモハリアー。彼はなんとこの函館記念を３連覇と言うとてつもない偉業を達成した馬です。

一年に一回しかない函館記念。連覇をする為には次の年もレースに出走しなければならない。

年が変われば戦う相手も変わる。また自身も一つ年を重ねる。しかも函館記念はハンデ重賞。出走する度に負担する斤量は増えていく。

ライバルはもちろんの事、己自身との体力との戦いでもある。そんな中、３連覇を達成したのだから本当に凄い馬だと思う。

初めて函館記念を勝ったのは5歳。ハンデは55ｋｇ。エリモハリアーにとっても鞍上の北村浩平騎手にとっても嬉しい重賞初勝利でした。

連覇は6歳時。ハンデは56kg。名手安藤勝己を背にエアシェイディを退けての連覇達成。

この後エリモハリアーは屈腱炎を発症。10ヶ月の休養を余儀なくされる。

7歳の夏、連覇したときと同じ巴賞→函館記念のローテーションで同一重賞三連覇に挑む。ハンデは57kg。巴賞の大敗から人気は低く6番人気だった。

しかし低人気もエリモハリアーにはお構いなし。「函館競馬場は俺の庭」と言わんばかりにJRA史上3頭目となる同一平地重賞3連覇を成し遂げた。

そして翌年。8歳になったエリモハリアーは前人未到の「函館記念4連覇」に挑戦した。結果はトーセンキャプテンの4着。惜しくも史上初の快挙はならず・・・

この時のレースは馬券を握り締め声を枯らしてTVの前で応援したのを覚えています。

4着に敗れたけどゴール前は横一線。同着でもいいから勝って欲しかったなぁ・・・

本当に凄い馬です。夏の函館競馬と言ったらエリモハリアーを思い出さずには居られません。

そして、エリモハリアーは2歳の時に去勢しセン馬になりました。クラシックの夢も、種牡馬としての第二の人生と言う選択肢も絶たれた状態で競走馬生活を迎えました。

それでも10歳まで現役で活躍し63戦を走ったエリモハリアーには本当に頭が下がります。

現在は誘導馬として第二の人生を送っているエリモハリアー。おそらく今週の函館記念では誘導馬として登場すると思います。

初夏の函館競馬場。誘導する若駒達の姿に当時の自分を重ね合わせエリモハリアーはどんな事を思うのでしょうか。

まだまだ元気に頑張って欲しいです。頑張れ！！エリモハリアー