変則二冠への序章〜2005年フィリーズレビュー

今週行われる桜花賞トライアルフィリーズレビュー。やっぱり今でも忘れることが出来ないのは2005年。勝ったのはラインクラフトでした。

ラインクラフトは2002年生まれの鹿毛の牝馬。額の白い模様が稲妻のように見える可愛くて美しい馬でした。

彼女は桜花賞とＮＨＫマイルを勝ち「変則二冠」の女王になりました。桜花賞ではエアメサイア、シーザリオに完勝して優勝。適正距離をマイルだと見抜いた陣営はオークスをあっけなくパス。代わりに牡馬混合のＮＨＫマイルに参戦。牡馬達を子ども扱いにし変則二冠を達成しました。

一途な彼女は福永騎手以外誰も背中に乗せませんでした。奇しくも桜花賞で2着に退け自身がパスしたオークスを勝ったシーザリオは福永騎手が主戦でした。

もしラインクラフトがオークスに出走していたら福永騎手はどちらを選んでいたでしょうか？

初めて彼女の走りを見た時、マイルでの強さならノースフライトに匹敵するんじゃないか？そう思ったのを今も覚えています。

変則二冠達成後はマイルＣＳ3着、明け4歳では高松宮記念2着と古馬の牡馬相手にも互角以上のレースを見せたラインクラフト。しかし2006年8月19日早朝、放牧先のノーザンファーム空港牧場において調教中に急性心不全を発症し4歳と言う若さで天へと旅立ってしまいました。

マイルでは圧倒的な力を見せ付けたラインクラフト。あのシーザリオに唯一土を着けたのも他ならぬラインクラフトです。

彼女の命日は何と言う偶然なのか彼女の母の父である偉大なる大種牡馬サンデーサイレンスと同じ8月19日でした。

名馬には生涯を終えるその日にちまでもが運命付けられていたのでしょうか。本当に強くて美しい馬でした。