〇〇話　第２話　(≧△≦)ｲﾔー

今回は、皆さんが思われている『心霊現象』とは全く違う僕の体験をお話しします。


これは３０年程、昔のことです…



その日、僕は葉山御用邸傍の『別荘』で、気持ち良い初夏の朝を迎えていました。



時間は午前１０時少し前、木製の雨戸（？）をギシッ、ギシッ、っと開けると…

海の香りが漂って来ます。



この『別荘』、正確には友人のサークルで借りている築４０年以上の古い木造家屋です。

『週末のマリンスポーツの拠点』という目的で借りている物件でした。




機材を置く場所や大人数が休憩できる畳敷の大きな部屋の他には小さな台所とトイレ、

古風な風呂が有るだけの殺風景な『別荘』です。




なんで、朝からそんな場所にいるかって…？・？・？



実は昨晩のこと、悪友３人組に誘拐されたのです。（泣）



夜の１１時過ぎに僕の自宅まで車でやって来て、食事の後、無理矢理連れてこられた

のがこのボロ家でした。





実はこの家、出るんです。





大学の先輩名義で４月に借りたのですが、妙な出来事が続発して肝心の夏本番には

誰も使わなくなってしまったという物件でした。





悪友のＦ君がこのサークルのメンバーで、「使わないなら、俺、使うわ。」と宣言して

僕達悪友仲間を道連れにしたのです。（泣）




僕らは深夜に到着して周囲を確認、家に入ってから持参した酒やツマミを広げて宴会（？）

を始めたのでした。




「で…、実際、どんな奇妙なことが起こったの？」とＦ君に質問すると…




幸か不孝かＦ君自身は体験したことが無く、サークルのメンバーに聞いたところ…


蛇口が勝手に開いて水が出てきた。


テレビや照明が勝手に点いたり、消えたりした。


置いておいた私物や食べ物がいつのまにかトンでも無い場所に移動していた。



誰も定番の「髪の長い、白い着物を着た女の幽霊」は見ていないとのことでした。




結局、宴会中には何も妙なことは起らず、皆、徹夜疲れで寝入ってしまいました。




それから４〜５時間は寝っていたでしょうか。

太陽も高く昇り、夏の気配で目を覚ましたという訳です。



誰かが起きると、他の者も物音や気配で目が覚めます。



「昨日はなんだった？　何も起きなかったじゃん。」



「そう、そう、期待したんだけどなぁ。」



緊張していた昨晩とは一変、朝が来ると気持ちも大きくなり軽口を叩きます。

すると…、　いきなり消えていたテレビの電源が入りました。




「・・・・・・・」




「？・？・？・？」




「誰かリモコン触った？」




「誰も……　」




今度はテーブルの上の空き瓶がポロッっと畳の上に落下します。


落下した瓶は、コロ…、コロ…、コロ・コロ…、コロ・コロ…、コロ・コロ・コロ…、

コロ・コロ・コロ・コロ…　テーブル横のＦ君めがけて加速しながら転がります。




「うわ〜！」と叫んで、起き上がるＦ君。



空き瓶は壁まで転がって止まります。




ここで、僕らは明らかに異常な状況の中に居ることを理解しました。



「・・・・・・・」



「？・？・？・？」



「これって…」



「そうだよな？」



「だよね。」



その時です。　シャカ、シャカ、シャワ、シャワと軽い音が室内に響きました。

音の主は、部屋の中央に置いたゴミ袋代わりのコンビニ袋です。




その袋が、風に揺れて音を立てるでなく、まるでブラックホールに吸い込まれるよう

に袋の中央目掛けてシャカ、シャカと音を立てながら縮小していきます。



経験したことの無い状況に僕らは一気に怖くなって、早々に『別荘』を後にしました。



その後も訪れたメンバーに奇妙な現象が起こったということですが、不思議なのは

誰一人、具合が悪くなったり、事故にあったりすることも無かったということです。



もう、その家は無くなっていると思いますが、今、『別荘の住人』は何をしている

でしょうか？　どこへ行ったのでしょうか？



あの時の住人は僕等を見て、唯、自分の存在をアピールしたかったのだろうと思います。