6件のひとこと日記があります。
2013/01/20 23:31
降着の新基準が理解できました
トランスワープとダノンバラードのケースが物議を醸しています。
私も含めてファンにとっては違和感があり過ぎなのですが、これは新ルール上は殆ど問題にならない事例のようです。
JRAによれば新ルールのポイントは、
『その走行妨害がなければ被害馬は加害馬に先着していた』かどうか。
これはほとんどの方が理解していると思いますが、さらに重要なのは、先着していたかどうかの判定基準として『可能性がある』程度ではダメで、『必ず(ほぼ100%)』先着していたというレベルが要求されている点です。
つまり今回のレースで言うと、トランスワープがあの不利から盛り返してクビ差とかハナ差位までいかないと降着にはならないという事です。不利を受けた上で僅差まで詰め寄るというケースがそうそうあるとは思えないので、おそらく今後は『降着する』こと自体が殆ど無くなると思います。
「それじゃ『やり得』だろ!」という批判は当然あるのですが、制度としてはラフプレーの抑止は騎手への制裁によって一元的に担保するという設計です。
つまり、配当と賞金の分配は『入線順』、レースの安全性確保は『騎乗停止』と完全に2元化され、この2つは今後直接的な関係を持たない。降着や失格というのはあくまで超例外的な措置という事だと思います。
日本人の通常の感覚からすると、ラフプレーで相手を妨害した馬が勝者として祝福されるというのは、かなり違和感があるのですが、斜行は騎手の過失であって馬や馬券を買ったファンの過失ではないというリアリズムがあるのでしょうね。
私自身は、理屈としてはこの新基準の方が合理性があると思います。
ただ何の問題もないかと言うと、やはり皆さんと同様ラフプレー増加への懸念はあります。
これまでと比較して騎乗停止期間が伸長したようですが、一方で騎手にしてみれば自身のラフプレーによって馬主や調教師に迷惑がかかる可能性が格段に低くなった事で、ある意味ラフプレーはかなりやり易くなりました。また、ラフプレーギリギリの騎乗をする騎手への依頼もかなりし易くなります。
巷では『外人がラフプレーし放題になる』と懸念されていますが、外人Jは制裁点が一定以上溜まると次年度騎乗できなくなるので結構リスクが高いです。(今回の騎乗停止でベリー騎手はほぼリーチですし)
むしろ、日本人JK(特に若手)の方が、ラフに乗る傾向が強くなっていくように思いますし、ラフに乗っても勝ちを取りに行く騎手が評価されるようになると思います。
『ルールギリギリの事をやっても勝てばOK』というような考え方は、多くの日本人の心性にそぐわないと思うので、運用を間違えるとこの新ルールはかなりのファン離れを招いてしまうように思います。
もし、ラフプレーが目に見えて増えるようなら、騎手への罰金や騎乗停止期間の延長等、対抗措置を早急に打ち出した方が良いでしょう。