ジョワドヴィーヴルとフィフスぺトルの調教中の事故について思うこと

　このサイトの競馬ニュースやJRAのHPにもあるように、残念なことに今週、調教中の事故により２頭の名馬がこの世を去った。

　競馬ニュース欄にもたくさんの方がコメントを寄せており、私も読ませて頂いた。競走馬の不慮の死を減らせないものかという意見、昨今のJRA競馬場の高速馬場の問題、調教師をはじめとする厩舎関係者やJRAの上層部の方への怒りにも近い要望など様々な皆さんのコメント。

　そんな中で１つ興味深いコメント発見した。『もし、競走馬の脚部の負担が軽減される、米国などで使用されているようなオールウェザー馬場に日本の全競馬場を改修するということになったら競馬ファンはどう思うだろう』的なコメントでした。もともとダート競馬が主流の米国ではオールウェザー馬場の導入も抵抗なく受け入れられた部分もあると思うが、ほとんどのGIを芝の上で行う日本の競馬、とりわけ中央競馬においては、受け入れられるのかな？と。

　私も競走中や調教中の競走馬の事故死や安楽死について、心を痛めている。その事故や故障が減るのなら、オールウェザー馬場の導入にJRAが舵を切れば諸手を挙げて喜ぶ･･･とはなれないような気がします。先日の日本ダービーで見事、差しきり勝ちをおさめたキズナ号と武豊騎手も、それが新緑の芝の上での出来事だからこそ、その美しさや感動も膨らんだ気がするのですよ。それがダートやオールウェザー馬場の上での出来事だと、若干、違和感をおぼえると思う。

　少し大袈裟な例えかもしれませんが、『今年から夏の全国高校野球大会を東京ドームで５イニング制で行います。高校生の疲労度や健康面を考えてのことです』と言われても、誰も納得しないような･･･。もちろん、甲子園の野球大会で選手が亡くなったという話は聞いたことがなく、命が懸かった競走馬の話と同じにはできないですが、高校球児も甲子園大会で選手としての寿命を縮めることはあり、本当に辛いことだと思う(現東京ヤクルトスワローズの投手コーチ荒木大輔氏などはその１人かなと･･･)。

　昨年、サラガドゥーラ号の事故の時には、ゲートボーイの導入をと書いたのですが、本当に事故を減らすことを最優先に考えるなら、オールウェザー馬場の導入だって必要なはず。でも、それを私自身は受け入れられるかというと･･･？？？です。やはり、どこかサラブレッドを犠牲にしても、自分が感動したいというような私利私欲を優先してしまっているのかなと。となると、私は、今回のジョワドヴィーヴル号やフィフスぺトル号の厩舎関係者はもちろんのこと、昨今の高速馬場(≒硬い馬場)を容認しているJRA職員にも偉そうなことは何１つ言えるような人間ではない(というより、JRAなどの競馬ファンなら、それは誰も言ってはいけないと思います)。

　私には、そのような事故が少なくなります(できればなくなる)ようにと、神様にでも祈ることしかできないのかなと、無力さを痛感している。偽善者振るわけではないが、本当に心は痛みます。私ができることは、ジョワドヴィーヴル号やフィフスペトル号のようなサラブレッドを忘れず、このような事故からも目を背けることなく競馬やサラブレッドを応援していくことだけなのかなと･･･。

　ジョワドヴィーヴル号、フィフスぺトル号、本当にご苦労様でした。どうか安らかに。厩舎スタッフをはじめとする両馬の関係者の皆様には御悔やみ申し上げます。