275件のひとこと日記があります。
2012/10/15 20:33
凱旋門賞観戦記5
フォルスストレートの半ばで、クラストゥスJが振り返り、僚馬アヴェンティーノが外に逃げていく。馬場の内外の違いこそあれ、フォア賞と同じ様に、オルフェーヴルに進路を譲ったのだ。
それを合図に、オルフェーヴルが加速していく。
最終コーナーで外に出したオルフェーヴルは、残り300mで先頭に立った。明らかに他馬とは違う脚色。
「よっしゃ!抜けた!」思わず、僕は大声を出した。すぐ右隣にいた白人女性が、しかめっ面をしたのが分かった。
残り250M、馬群を外から力強く抜け出した姿を見て、僕は勝利を確信した。
オルフェーヴルが近づいてくる。僕はその勇姿を収めるべく、カメラを構えた。望遠レンズで視野が狭くなる。オルフェーヴルが、内ラチにもたれていったのは、僕の視界の外での出来事だった。
僕は、オルフェーヴルが、ファインダーに入ってくるのを待った。
あの脚色ならば、オルフェーヴルの独走になっているはずだ。そう思っていた僕は、ファインダーに捉えたその馬に、反射的にシャッターを切った。しかし、オルフェーヴルが現れると思っていたその場所を、駆け上がってきたのは、ソレミアだった。オルフェーヴルは内ラチいっぱい。
焦った僕は、オルフェーヴルが通り過ぎた後、2枚の写真を撮るのがやっとだった。しかも、まるでスミヨンがメインの写真になった・・・
気を取り直して、その時、やっと気付いたのだ。オルフェーヴルに一頭の馬が迫っていた事に。
「えっ?もしかして、ヤバいの?」
残りは僅か。隣の女性のしかめっ面にも拘らず、僕は力の限りを尽くして叫んだ。
「いけ!いけ!いけ!もうちょい!残れ!頑張れ!」
そして、再びスクリーンを振り返った時、ソレミアは、クビ差まで迫っていた。ゴール板はまだ見えない・・・
掴みかけた凱旋門賞馬の称号は、その瞬間、スルりと擦り抜けていった。
僕をここまで導いてくれていた、競馬の神様は、僕に、たった10秒余りの「夢」を見せてくれただけで、最後の最後に、そっぽを向いてしまった。
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ジンセイウマナリさん
有難うございます。予想以上に近かったので、もっと引きで撮れていれば、と思いましたが、これはこれで良かったのかなと思えてきました(単純)
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はなりんさん
すごい、迫力満点、花丸◎二重丸◎の写真です!!
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ぷーちんさんがいいね!と言っています。
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ジンセイウマナリさん
マル優さん
「マジかよ〜!誰やねん?この女。」って感じなんでしょうかね(笑) -
ジンセイウマナリさん
皆さん、コメントや多数のいいねを、有難うございます。
今回、初めてレースの様子をカメラで撮ってみたのですが、ホントに難しいですね。カメラを構えると視界が狭くなり、自分の目で確認しようとすると、構え遅れる(汗)そのうえ、ジョッキーの鮮やかな勝負服のせいで、どうしてもジョッキーがメインの構図になってしまいます(苦笑)
当サイトに写真を投稿されている皆さんには、本当に頭が下がりますm(__)m -
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