275件のひとこと日記があります。
2012/10/16 23:31
凱旋門賞観戦記6
勝てなかった・・・
悔しかった。でも、涙は出ない。素直に勝者を、そして、オルフェーヴルを称えたいと思った。
もし大外でなかったなら、もしもう少し馬場が軽かったなら、もしもう少し仕掛けが遅かったなら・・・
たらればを、いくら言ってもしようがない。オルフェーヴルに何かが足りなかったのだろう。それは、スタミナなのか、パワーなのか、あるいは「運」だったのかも知れない。
しかし、これだけは自信を持って言える。
「オルフェーヴルが、一番強かった」と。
馬群の外を駆け上がって来る時の、あの脚色。他の馬が止まって見えるとはあの事だ。
残り250mの、あの光景は、決して忘れる事の無い、大切な宝物として、僕の心の中に残り続けるだろう。
勝者を残して、他の馬達が帰ってくる。オルフェーヴルもその中にいた。
大丈夫、元気そうだ。
次々とコースから姿を消していく馬達。
見えなくなりそうな、オルフェーヴルの後姿に、僕は、心の中でそっとつぶやいた。
「有難う。お疲れ様。」
そして、たった一頭になった勝ち馬、ソレミアが、メインスタンド前に帰ってきた。
彼女はすでに、勝者だけが許される馬服を着ている。誇らし気にメインスタンド前に凱旋するソレミア。
僕は、その姿に、オルフェーヴルを重ね合わせてみた。
その時点で、未だに僕は、勝ち馬の名前も、勝利ジョッキーが誰かも知らなかった。
その場を後にしながら、スクリーン画面を見上げた。そこには、ソレミアの関係者が集まり、喜びを分かち合っている様子が映し出されていた。
ジョッキーの顔が見える。
「あっ!ペリエか。」
外国人の顔を見分けられない、僕でも知っている顔。
「えっ?ペリエなん?」
競馬をあまり知らない、妻でも知っている名前。
ペリエマジック・・・
そう、彼にしてやられたのだ。
改めて、もらった新聞を見直してみると、現地フランスの評論家や関係者が、出走馬を評価した記事が載っていた。
顔写真と共に、一番大きく取り上げられているのが、ペリエジョッキー。
彼の一番手評価は、オルフェーヴルだった。
彼は、オルフェーヴルを見ていた。オルフェーヴルを待っていた。内の、経済コースを進みながら、その時のために、力を温存していたのだ。
僕は、もう一度、スクリーンを見上げた。してやったりの、ペリエの顔が映っていた。
「そうか、ペリエか・・・」僕は、もう一度つぶやいた。
その後は、振り返る事もなく、夕方の5時を過ぎたというのに、まだ、昼間の明るさが残る、ロンシャン競馬場を後にした。
残念ながら、オルフェーヴルは勝てませんでした。
しかし、これで終わりではありません。オルフェーヴル陣営からは、来年の再挑戦への前向きなコメントが聞こえてきます。また、オルフェーヴル以外の産駒達の挑戦もあるかも知れません。更には、オルフェーヴルやナカヤマフェスタの産駒、つまり、ステイの孫達が挑戦する事も十分あり得ます。
ステイの挑戦は、まだ始まったばかりです。
今回、幸運にも、現地での観戦が叶いました。
なにぶんにも、初めての事が多く大変な旅になりましたが、自分の目にその光景を焼き付け、大歓声を聞き、ロンシャンの芝の匂いを嗅ぎ、オルフェーヴルの力強い足音を感じ、何より、同じくオルフェーヴルを愛する、大勢のファンの気持ちに触れる事ができました。
最高の結果とはいきませんでしたが、競馬というスポーツが、更に好きになれました。
もう二度と現地へ行く事は叶わないかも知れませんが、日本から精一杯の応援をしたいと思います。
最後になりましたが、拙い文章にも拘らず、私の日記をお読み頂き、たくさんのコメントやいいねを頂いた皆様に、感謝致します。
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ゴールディさんがいいね!と言っています。
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ジンセイウマナリさん
>向井佐平次さん
お久しぶりですね。日記を読んで頂き、有難うございました。
そうですね。ステイが挑戦する限り、私達は応援あるのみです^^ -
向井佐平次さん
ジンセイウマナリさん、凱旋門賞観戦記じっくり読まさせていただきました。現地応援お疲れ様でした、ロンシャンの興奮が伝わってきました。
ステイ産駒の挑戦はこれからも続くでしょう、黄金旅程はまだまだ続きます。ずっと、私たちは応援を続けましょう。 -
ジンセイウマナリさん
>ふくすけさん
そう言って頂けると有り難いです。レポートのし甲斐があります^^
優駿、今日、やっと買ってきました、表紙の写真からページをめくる度に、また悔しさが込み上げてきました。
今回はいくつかの偶然も有り、得難い経験ができました、さすがに来年もとはいきませんが、ステイ産駒の挑戦は来年、再来年と続いていく事でしょう。そしてきっと、この悔しさの先に、素晴らしい結末が待っていると信じています。 -
ふくすけさん
ジンセイウマナリさん、遅くなりました。凱旋門賞観戦お疲れ様でした。そしてレポート有難うございました。やはり、現地からの情報が一番参考になります。このサイトの海外かぶれの書き込みに辟易していたので、新鮮な内容に癒されます。オルフェーヴルのタオル『優駿』で見ましたが、商売上手ですなぁ。ジンセイウマナリさんのフランス行きの決意から、娘さんの発熱、現地到着から観戦までの一連の流れは一つのドラマですね。『優駿』のエッセイを読んでいる気がしました。そして、写真撮影も簡単そうで難しそうですね。このサイトの田中哲実さんのコラム('11・7・27)にシンザンのレース写真のことが出ていましたが、「神業の如き技術」は現在のカメラでも必要なのかもしれませんね。
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Gold系さん
緊張と興奮が伝わってきます。
私も本当に、本当に悔しかったけど、
新たなドキドキワクワクが蘇りました^^ -
Gold系さんがいいね!と言っています。
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ジンセイウマナリさん
ゴールドシップが想像以上の強さで菊花賞を制覇してくれました。来年の凱旋門賞では、オルフェーヴルとの揃い踏みが見れるかも知れません^^
それにしても、ステイ産駒は3年連続で出走。毎年楽しませてもらっている私達は、本当に幸せですね。 -
はなりんさん
「凱旋門賞観戦記」しっかり、じっくり読ませていただきました。
ありがとうございました。
ステイの挑戦は、まだ始まったばかりです。←そうですよね、
これからもずっと続くんですもん^^
落ち込んでなんかいられませんね^^ -
はなりんさん
「凱旋門賞観戦記」しっかり、じっくり読ませていただきました。
ありがとうございました。
ステイの挑戦は、まだ始まったばかりです。←そうですよね、
これからもずっと続くんですもん^^
落ち込んでなんかいられませんね^^