血染めの友情。

１２月某日　栗東　池江厩舎にて

寂しそうに、オルフェーヴル（以下：オ）がいなくなった馬房を覗き込むオーシャンブルー（以下：ブ）

ブ「ホンマにいなくなったんやなぁ、アイツ・・・まぁ、これで少しは静かになるわ。ん？」
寝藁に隠す様に置いてある箱を見つけるオーシャンブルー
ブ「何や、コレ？　ん、手紙か？なになに・・・」

『オー君へ

オレは、次の有馬記念で引退する。
最後のレースで、同期のお前と走られへんのは残念やけど、まぁ、どうせ勝つのはオレやから無理に出てもしゃーないか^^

ところで、オレには気掛かりな事がある。それは、ファミユの事と、同期のお前の事や。
ファミユはまだまだこれからやけど、お前はそう悠長な事は言ってられんはずや。
そこで、オレはお前にコレを託す。

同厩、同父の同期として、いつもお前の活躍を祈ってる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　最強馬　オルフェーヴル』

ブ「オ、オル・・・」
箱の中身を確かめるオーシャンブルー
ブ「こ、これは、『凱旋門賞馬養成ギプス』！アイツが使ってたやつか。ん・・・？何や、このシミは？」
ギプスには赤黒い跡が
ブ「まさか・・・これは、血？　そうか、アイツ、影では想像を絶する厳しい特訓をしてたんやな・・・ヨシ！俺も負けてられん！」


リヤンドファミユ（以下：ファ）「もしもし、兄さん。」
オ「おう、ファミユか。どうしてん？」
リ「兄さん、オーさんに渡したギプス、何か細工したでしょ？」
オ「ありゃ、バレたか（汗）まぁ、ちょっとペンキでな^^」
リ「やっぱね。だって、いくらハードな特訓したからって、いちいち外傷なんか作ってたら、レース自体回避しなきゃいけなくなっちゃうよ。」
オ「せやけど、オー君、ヤル気になってるんやろ。」
リ「まぁね^^」

そして数日後

実況アナ「最内をついてオーシャンブルー！　復活！　今年の中山金杯はオーシャンブルーです！」

ブ（オル、俺はお前みたいにはなれんかも知れん、でも、俺は俺や、少しずつでもお前に近づける様に頑張ってみるわ。そう、少しずつ・・・）

注：オーシャンブルーの母プアプー（Peu a Peu）ドイツ語で少しずつの意