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2015/05/28 20:21
ダービーについて思うこと(その3)〜80回目に神様が降りてきた日のこと〜
2013年の第80回日本ダービー当日、僕は府中競馬場にいました。普段はテレビ観戦で、これまでG1の日に競馬場に行くことなどほとんどなかったのですが、あの日だけはなぜか「行かなきゃ」と思ったのです。
ダービーは実力通りに決まるといわれていますから、穴馬を狙うつもりはありませんでした。軸にする候補としては、4強といわれていたロゴタイプ、エピファネイア、コディーノ、キズナ。最終的に僕はコディーノに本命を打ちました(当時未成年だったので馬券は買いませんでしたが・・・ホントですよ?汗)。東京スポーツ杯の勝ち方とそれ以降のレースの負け方を見ると中山よりも府中向き、そしてダービーにおいてはマイル適性の高さがむしろプラスに働くように思えたからです。対抗はロゴタイプ。エピファネイアとキズナは抑えにまわしました。
ところが本命にしたにもかかわらず、僕はコディーノに対して大きな不安を抱いていました。それは直前になって主戦の横山典弘騎手からウィリアムズ騎手へ乗り替わったことです。これまでのダービーで、乗り替わった馬が勝利したことはありません。実はコディーノに本命を打つことは皐月賞後から決めていて、そのあとに乗り替わりが発表されたのでしたが、もしこれで本命を変えて勝たれたのでは悔しいと思い、初志貫徹することにしました。
それは各馬が一斉にスタートをし、最初の第一コーナーに差し掛かるときです。鞍上と全く折り合わず暴走をしているコディーノが目に映った瞬間、自分の持つ馬券がただの紙くずになることを悟りました(いや、だから買ってないって・・・)。
結果はご存じのとおり、武豊騎手のキズナが大外一気を決め優勝。かつての輝きを失いかけていた武豊騎手が5度目のダービー制覇を第80回の記念のダービーで、しかもキズナという素晴らしすぎる名前を持つ馬とともに成し遂げたことにあまりに感動し、予想が外れたこともすっかり忘れ、涙を流しました。競馬で泣いたのは後にも先にもあの時だけです。
あの時どうして「行かなきゃ」と思ったのかといえば、それは心の中では大ファンである武豊騎手が復活する瞬間をどうしても見たかったからなんです。ではなぜそれでもキズナに本命を打てなかったのか。結局武豊騎手のこともキズナのことも信じきることができなかったから、がっかりしたくなかったからです。
でも武豊騎手は違いました。当日の前残りの馬場がどうであれ、ライバルがどうであれ、キズナの最後の末脚を信じきっていました。そして佐々木調教師も、前田オーナーもです。武豊騎手へ乗り替わった後の2戦、結果は出ませんでした。乗り替わりを検討されたこともあったと思いますが、それでも最後まで武豊騎手のことを信じていました。
こうしたチームキズナの信頼関係を見て、競馬の神様はキズナに勝利を与えたのではないでしょうか。
一方、僕の本命コディーノは、やはり前半で力を使い果たしてしまい9着惨敗。
藤沢調教師にとっては悲願のダービー。次にいつダービーを狙える馬を管理できるかわからないという焦りから、どうしても横山騎手を信じることができなかったのでしょう。
ジョッキーを信じることのできなかったコディーノ陣営、そしてキズナ陣営のことはおろか自分の本命馬でさえも信じることができなかった僕に対して、競馬の神様はこう教えてくれたのかもしれません。
「そんなことではダービーは勝てないよ」
(最終回へつづく)