ベーカバドという種牡馬

　マイナー種牡馬ベーカバドは今年初年度産駒をデビューさせましたが、
既に、中央で2勝、地方で3勝を上げており、まずまずの滑り出しと言えるでしょう。
勝ち上がった産駒の血統を見てみると、五十嵐理論上、偏った傾向が見られます。
勝ち上がった5頭のうち3頭がMill Reef 4×4の系列ぐるみクロスを主導として
いるからです。
デビューした21頭のうち、Mill Reefの系列ぐるみが主導の馬は4頭のみ。
そのうちの3頭が勝ち上がり、残りの1頭が1戦して4着ですから驚異的です。
しかもそのうち中央で勝ち上がった2頭（エネスクとペイシャオブマーシ）は
新馬勝ちなので特別な価値があります。
正に走るベーカバド産駒を探すには、血統表を見てMill Reefの系列ぐるみクロスが
主導となっているかどうかを確認さえすれば良いと言い切っても誤りではない状況と
なっています。
ベーカバド自身はNever Bend 5×4 の系列ぐるみの主導が明確な馬であり、
血の集合箇所は凱旋門賞2着の名牝BeheraでMill Reefが全開。
ベーカバドの良さを生かす為には、Mill ReefをクロスさせBeheraを強調する
ことは理に適ったことです。
ただ、この部分はヨーロッパの深い芝向きの血で日本適性を欠きます。
なので、こんな早い時期にMill Reef 4×4の系列ぐるみ主導の馬が続けて
勝ち上がったことに正直驚いています。
　日本の種牡馬ではMill Reefの中間断絶を呼び水とするローエングリンが
いますが、ローエングリンの場合、産駒はMill Reefの系列ぐるみができに
くい上に前面に他のクロスが出来てしまい、大概父とは全く異なるタイプと
なります。Mill Reefの系列ぐるみのクロスを主導とする産駒を輩出できる
種牡馬として、ベーカバドは稀有な存在です。
交配される繁殖牝馬に上質なものは少ないですが、Mill Reefの血が比較的多く
残っている新冠地区に導入されたのは幸運だったと言えるでしょう。
　実は私は2年前にローレルの当歳募集馬のベーカバド産駒サリール2013に
出資しました。この馬もMill Reef 4×4系列ぐるみを主導とする馬でした。
ところが、頸椎狭窄による腰フラの症状を呈し募集中止となりました。
　今後もベーカバド産駒でMill Reef の系列ぐるみを主導とする馬に注目
していきます。