723件のひとこと日記があります。
2012/09/17 14:08
セントライト記念
ハナ差で涙を飲んだ激戦の日本ダービーを生涯の糧にすべく関東の雄フェノーメノが実りの秋へ再始動する。前半5F59.1で縦長となった馬群の中団より前目の絶好の位置で流れに乗って手応え良く最後の直線へ向き自慢の末脚に賭けた。搭載されたエンジンは残り200mで完全に全開となっていた。
人馬一体の鬼気迫る勢いで前を行くディープブリランテに襲いかかったが並んだ所でゴール。執念で残したディープブリランテと岩田康誠に“23センチ”及ばなかった。申し分ないレース運びで最も綺麗な競馬をした完璧な内容でも勝てない。僅かな差で栄光を逃したのは痛すぎる。しかし1頭の勝者とその他の敗者に別れるのが競馬。悲運の結末を呪うよりこの先を明るく展望し実現できるよう考えたい。
仕上がりは万全に近い。8月半ばに帰厩してからじっくり時間をかけて乗り込まれ1週前追い切りは連勝でオープンに昇級した僚馬の5歳ラッキーバニラを2馬身追走し終い強めに追われて最後は4馬身差先着で圧巻の動きを披露。蛯名騎手も「馬体に幅が出て全体的にバランスが良くなった」とひと夏の成長に対して好感触の談話を残した。
直前も同じパートナーとスパーリングを敢行、軽く仕掛けられると抜群の反応で瞬時に抜け出した。日に日に状態が上がっており休み明けでも体調は整った。問題は過去(7)(6)着の中山コースに尽きそうだがずっとフェノーメノに注目している立場からすれば適性云々などは愚問でしかない。
ホープフルSは内で詰まって満足に追えていないし、弥生賞はスタートから後手の連続で確実に鞍上のミスで負けたレースでありこれで適性を決定されては迷惑千万。確かにダービーの加速の仕方を見る限り大箱コースの方が合っているのは否定できないがオルフェーヴル、ドリームジャーニー兄弟など他のステイゴールド産駒より戦法に融通が利くと思っている。
一番最初にフェノーメノのどこに魅力を感じたかと言えば新馬戦でみせた先行しての持続力だった。ダービーや青葉賞は素晴らしい決め手だったが切れ味を武器とするような馬ではなく先行して自分から仕掛ける王道こそがこの馬の目指す最終形態だという気がしている。展開の紛れや道中のマークなど人気馬ゆえに被る火の粉を振り払うにはこれが最適。
蛯名騎手も目の前の勝利を考えつつ先を見据えていくならば頭に入っているだろう。筋道をしっかり立てて頭脳的に競馬を組み立て時に大胆さをみせるのが彼流だ。春は寄せ付けなかった格下ばかりだし相手関係的にも必勝。敵がいるなら造園課。世界選手権にでも出品するのかと思うほど今開催は頑張っており理不尽な負け方も頻発しているがこの外敵も実力で一蹴したい。不動の◎だ。
相手探しの一戦だが距離が長いほど内枠の恩恵が多大だから8番より外の伏兵は無視でいい○ニューダイナスティは前走の佐渡特別で古馬相手に快勝。前半5Fを60.8で入り中盤もペースを落とすことなく逃げてラスト3F12.0-11.4-11.4でまとめる非常に優秀な内容で中長距離馬としての資質を開花させ始めた。
京都新聞杯(10着)は逃げが叶わず大敗したがこの相手関係でフェノーメノの怖さを肌で感じている岩田なら思い切って勝負しにいくだろう。父ディープインパクトだが切れ味より母父Dynaformer(ブライアンズタイムと3/4同血)のパワーと粘りで走る馬だから我慢比べに持ち込まれると厄介な存在だ。
ローエングリンの半弟エキストラエンドも春から能力の高さを買っていた1頭で弥生賞(5着)はフェノーメノの次に強い競馬をしていた。ダービー切符を狙った京都新聞杯(3着)はレコード決着で位置取りが後ろ過ぎて最後は脚が上がってしまったがやはり将来性がある内容。スケールアップしていれば▲
ダービー8着の△エタンダールも割って入る力は持っているが終いだけを伸ばした調教に少し不満が残る。菊花賞向きの馬で陣営も狙っているだろうし叩いた方がベター。藤原厩舎的にはカナロアで権利を奪いたいが瓢湖特別と調教の加減の仕方を見ると一歩足りないように映る。実力馬ベストディールもさすがに一度使ってからだ。