いちょうＳ・室町Ｓ

【いちょうＳ】
ヤマニンパラダイス、エアグルーヴ、メジロドーベルなど立て続けにＧ１馬を送り出した出世レースも今は昔で最近は０７年２着のスマイルジャックや０４年１着のジャリスコライトが目立つくらいで存在感が乏しかっただけに1800mに延長し１か月後の東京スポーツ杯２歳Ｓへ向けた前哨戦という明確な役割をもってテコ入れしてきた効果は絶大で２年連続７頭立てからフルゲート要注目の一戦に生まれ変わった。

これだけ揃うと激戦必至。判断材料が少ないだけに良血や素質の高さなど上辺だけの評価になりがちだが経験を重ねている馬が有利とみたい。本命に推すピュアソルジャーは３戦１勝。新馬戦は直線ヨレるのを矯正しながら追うなど幼い面を見せて４着止まりだったが未勝利は追い出しをギリギリまで遅らせてゴール前差し切り勝ち。新馬で先着されたサーストンニュースを今度は負かしているだけに上積みは大きかった。

アスター賞は前半5F58.5の大逃げになったロードシュプリームが２着に残るほど先行有利な開幕週の超高速馬場。後方からレースを進めたが仕掛け所も難しい展開で道中押し上げるのに脚を使ったのも誤算だったはずだが直線に向くともうひと伸びして４着。上がり最速は位置取り的に当然としても前残りのレコード決着で唯一差を詰めてきた事は評価できる。器用なタイプではないし今回のコース替わりは好材料間違いなし。

父ジャングルポケット×母父キングカメハメハ×母母父サンデーサイレンスだから配合的にはクラシック王道で東京適性も問う方が野暮だ。もうひと味スパイスを利かせるべく祖母ピースオブワールド(阪神ＪＦ)の完成度と底力がカギを握る。最近の活躍馬はトシギャングスター程度だが牝系にはタイキシャトルもいるし大物を誕生させる下地のある血統だ。

エプソムＣ２年連続２着など重賞戦線を賑したヒカルオオゾラの半弟であるサトノノブレスは父がディープインパクトに代わって評判は更に上昇。新馬戦は前半少し折り合いを気にしたが我慢すると上がり3F11.5-10.5-11.4で弾けて圧巻の瞬発力を披露。後続に迫られていたがラストは流す余裕さえみせた。キャリア１戦で課題は多いが豪快に動いた調教や父と兄譲りの大きな跳びを見ると好勝負に持ち込んできそうだ。

フラムドグロワールは６月の新馬(東京1400m)を勝ち上がり夏を休養に充て芙蓉Ｓで復帰。厩舎的に仕上げを疑ってみたがスローを終始外を回らされながらの２着確保は及第点。ただ牝馬のサンブルエミューズの競馬ぶりからすると一枚劣る内容だった。相手が大幅に強化される今回が試金石。シルクプリマドンナはオークス馬だから距離は持つとしてもダイワメジャーの決め手が東京でどうか。オープン２着の戦績に期待。

コスモハヤブサはステイゴールド産駒で近親にカレンチャンやタケミカヅチがいる血統。新馬(５着)は切れ負け、アスター賞(５着)は根負けした感じだったが２戦目の内容は上々で再考の余地がある。母父スターオブコジーンはマイネルスターリーやネイティヴハートなど２、３歳戦に強い。ポップアップハートも能力上位でポップロックの甥にあたる良血だが母父アフリートの分スケールは落ちる。

アニメイトバイオ、ホーマンフリップの半弟ドラゴンレジェンドは父がステイゴールドに代わりノーザンテースト３×４だから成長力はありそうだが発展途上の段階での休み明けは苦しい。キングマンボの近親にあたるマンボネフューがデビュー戦快勝と合わせて人気になりそうだがバゴ×Storm Catで冷静に考えてクラシックはない。一本調子で溜めが効かない走りは良くてマイラーだろう。

【室町Ｓ】
ファリダットのペルセウスＳ大敗が体調面にあったとすれば中１週での出走は危険とみるべきだろう。決め手を武器とする馬に「57.5Kg」の斤量も微妙だ。上位混戦模様だが実績と適性で頭ひとつ抜けているのがワールドワイドだ。エニフＳはインペリアルマーチを追い掛けて速い流れを乗り切っての３着粘り込み、２走前のプロキオンＳ(４着)は差して少差の競馬で展開も不問だ。

マルカバッケンは京都ダ1200m【5-1-1-2】で勝ち鞍全てがこの条件という圧倒的巧者ぶりで休み明けにはなるがまさに狙い澄ました一戦、オープン昇級後も０秒５差以内で堅実に走っているし上位争いになる。穴はスプラッシュエンドの芝→ダート替わり。父プリサイスエンドはグロリアスノア(ＪＣＤ２着)など砂に強い産駒を多数輩出しておりスプラッシュエンドもダートで２勝しており軽ハンデが味方すれば一発ある。