菊花賞

ジェンティルドンナが劇的な勝利で牝馬３冠の偉業を達成したその裏で◎に推したアイスフォーリスは大失速し１５着。チェリーメドゥーサのかき回しなど異質な流れになり想定していた展開から軌道が外れたとはいえ前半5F62.2を３番手で楽に追走していたのだからオークス３着の底力で抵抗が欲しかった。Ｇ１で関東馬が輸送を挟んで関西圏で好勝負に持ち込むには並の実力では無理だという事を改めて痛切に感じた。

好枠を引いたフェデラルホールを打倒ゴールドシップの旗頭に指名しようとも考えたが人気だけ吸収してお客様化する可能性の方が高そうだと判断した。そもそもライバルが続々離脱し一強状態となったクラシック上位の生き残りであるゴールドシップに墨をつけるのは骨が折れる仕事だ。２歳の頃から菊花賞に一番近いと言われていた馬。坂の下りが利用できる京都は反応の鈍さを相殺できるしとにかく春より相手が断然弱い。

神戸新聞杯は前半5F60.7で中盤も緩んだが３角過ぎからエンジンを吹かしていき直線も何の苦もなく楽々抜け出して余力残しで「2分25秒2」敵なしを決定的内容で他馬に突き付けた。前哨戦としては非の打ちどころがない。絶好の１番枠、折り合いの不安なし、血統面も文句なし叩いて状態上昇。ズラリ並んだこの好条件を上回る馬がいない。玉砕覚悟の離し逃げなど奇襲に僅かな望みを残す馬も皆無。貫禄の二冠達成が濃厚とみる。

２?３着争いは大混戦。展開次第だがビービージャパンやニューダイナスティが強力な逃げ馬ではない事、ゴールドシップが早目に仕掛けていく事を踏まえれば差し馬ロードアクレイムが対抗筆頭。神戸新聞杯は休み明けで権利獲得を目標とするレースでゲートを出たなりの位置で進めてゴールドシップの直後につけ、直線も追うように伸びて２着。さすがに一気に突き離されたがマウントシャスタはおさえており春からの成長をアピールした。

父ディープインパクト×母レディパステルの良血で新馬勝ちやトーセンホマレボシとの接戦など素質の片鱗は窺わせていたがゲート難など荒削りな面が出世を妨げていた。夏木立賞は出遅れをカバーするために脚を使って先団にとりついたところ案の定掛かって制御に苦労。さらに直線でも前が壁になり完全に追い出しを失敗したがそれでも体勢を立て直されると残り100mから勝負を決めてみせた。まさに馬の能力で勝ったレース。

ラジオＮＩＫＫＥＩ賞は相手強化に加えスタートで後手に回った結果で８着もやむなし。ひと夏越えて気性面は改善の兆しをみせているし春とはひと味違うところが見られそうだ。母は秋華賞、エリザベス女王杯３着で京都Ｇ１に好走歴あり。Blushing Groomの血を内包し母父トニービンは０３年リンカーン(２着)０６年ドリームパスポート(２着)０９年フォゲッタブル(２着)３年周期の法則が継続されている。

そして穴党大注目はベールドインパクト。(１)春のクラシック上位馬が次々と離脱(２)春に重賞連対(３)皐月賞、ダービーに出走(４)神戸新聞杯大敗(５)京都のオープン実績あり(６)内枠。これは４年前に悶絶させられたフローテーションとほぼ同じ経歴の持ち主。半姉はＶＭを勝ったコイウタだが父がフジキセキ→ディープインパクトで距離は持つだろうし折り合いさえつけば一発あっていい。

萩ステークスの時に菊花賞３着直後だったトーセンラーと似ていると褒めたエタンダールも無事菊花賞に駒を進めてきた。欧州のいかついスタミナ血統を構える重厚さに青葉賞のように中距離のスピードにも対応できる素軽さも持ち合わせており現代の菊花賞向き。セントライト記念(４着)は久々で行き脚つかず後方からになったが鞍上も持ち味を生かす乗り方は当然把握している。ゴールドシップより前目から上位を虎視眈々と狙う。


距離延長で真価を発揮しそうなのがスカイディグニティ。父ブライアンズタイムはひと昔前の菊花賞の風情だが母父としてはスリーロールスを輩出するなど健在。中距離馬だったゴールデンダリアの下でセントライト記念２着も一緒だが長距離における自信の意味ではフジキセキよりは当然高い。陣営も好走を意識するような談話。フェノーメノに迫った鋭い末脚で一角崩し。

タガノビッグバンはフジキセキ×リアルシャダイ×ファンシミン系(Ｇ１ではワンパンチ足りない)で母父の文字だけに踊らされるのは少々無茶があるが芝【3-0-1-1】で底を見せていない魅力はあるし斬れないがバテない強みも長丁場志向。３連勝中のフェデラルホールは初の一線級相手に人気が追いついていない。母オーバーザウォールで平坦向きのグレートターフ一族は面白いが連まではおススメできない。