東京スポーツ杯２歳Ｓ

過去にウオッカやトールポピーも通った関西の登竜門的存在の黄菊賞は萩ステークス２着のトーセンパワフルや重賞好走馬を抑えて１番人気に推されたキズナが道中は後方３番手から進め、直線で大外に持ち出されると一気に前を捕え快勝。気性も素直で勝負所の反応も抜群、そしてゴールに近づくにつれて推進力が増すのが素晴らしく距離が伸びて更に良いのが伝わってくる。唯一にして最大の弱点になりそうなのが母をオークス敗退に追いやったとされるStorm Catの血だが歴史を塗り替える血統の大革命を予感せざるを得ない。

その強力なライバル候補が揃ったここはレッドレイヴンがＶ最有力だ。名馬グラスワンダーを叔父にもちヴィルシーナやダノンシャンティなど重賞活躍馬を多数輩出する世界的名血出身。サンデーサイレンスの登場や日本の生産技術向上などにより廃れつつある外車需要だが過去２戦が○外のスケールに違わぬ大物ぶり。

元々デビュー前から血統背景と好調教で注目されていた馬だが新馬戦(函館芝1800m)でいきなりその性能の高さを周囲に知らしめた。レースは向正面にかけて縦長の展開(前半5F64.7)になったが鞍上との呼吸も合って４番手をキープ、４角手前で気合いをつけられると直線は抜群の手応えで内に潜り込み鮮やかな差し切りを決めた。

内田騎手曰く「３コーナーで遊び出したので少し仕掛けたら、予想以上に反応が良くて前との差が一気になくなった・・・?」というように幼さを残してあの内容と着差だから先々の楽しみは大きい。レース後ソエが出たが当初から復帰の予定を秋の東京と考えていただけに陣営の青写真に狂いはなし。

久々となった前走の百日草特別も強いの一言。八分程度の仕上がりだったがスタートから出たなりの位置で進めると直線は外にいたピュアソルジャーを確認しながら坂を上って余裕の追い出しで先頭に立つとあっという間に後続を突き離した。上がり3F11.5-11.3-11.3の加速ラップを難なくこなした。

初戦で目についた首の高さも気にならず沈み込んでからのフォームはいかにも走る馬のフォルムそのもので夏と比べて馬体重こそ変化はないが精神面を中心に充実してきた。今回は重賞やオープン経験馬が相手になるが素質に惚れ込んだ内田騎手はサトノノブレス(いちょうＳ２着)を蹴って参戦するだけに意気込みは相当。

そのサトノノブレスと展開に恵まれ僅差の３着だったコスモハヤブサを問題にしておらず最低でも互角の比較にはなる。瞬発力勝負でも十分通用するし土曜は降雨予報が出ているが父Smart Strikeはダートの活躍馬も多いパワー型の米血脈だからマイナスに作用することは考えづらい。前走が仕上がり途上だから上積みは当然あるし大外枠も心配なし◎に指名する。

岩田と新コンビを組むサトノノブレスは期待されたいちょうＳの結果が案外だったがスローで直線も内が密集し前が壁となっている状況が長く追えたのは正味１Ｆ以下だから情状酌量の余地はある。ただディープ産駒にしては斬れないタイプで持続力タイプかもしれないだけに東京コースで相手強化されると微妙だが安定感があるし好調教で○。

一発あるのは同舞台の未勝利戦を４馬身差で楽勝したケンブリッジサン(江田照男)前半5F61.3で軽快に逃げて直線を11.6-10.9-11.5でまとめれば誰もついて来れないのは当然で勝ち時計「1分48秒2」は前週のいちょうＳより０秒１遅いだけだから記録面では非常に優秀。新種牡馬フサイチホウオーは６年前の勝ち馬で適性は文句なし▲。

新馬→札幌２歳ステークスを連勝で鼻息荒く東京に乗り込むコディーノ(横山典弘)も素質はヒケはとらないが今年の札幌は総じて時計の速い決着で札幌２歳ステークスもラスト3Fが12.0-11.6-11.3の後傾ラップだから却って野芝への対応力を示す内容だが母ハッピーパスのようにマイラーっぽい斬れ方をするのが気になる。

キングカメハメハ×サンデーの配合だがスピードがあるし現状は朝日杯ＦＳの方が合っている。出遅れ癖の克服がカギだがダービーフィズも血統の良さがでた実力馬。新馬は1000m通過65.3の流れを一頭大外を突き進みゴール前の大混戦に加わった。未勝利は脚力の違いで勝ったし粗削りだが将来は十分。ＪＰ産駒で道悪ならコディーノより上の印。

新馬戦(新潟2000m)で渋とく粘り込んだタカノハーバーも面白い。天皇賞馬イングランディーレ、トゥナンテ(毎日王冠など重賞３勝)マッキーマックス(ダイヤモンドＳ)などコンスタントに走る馬を送り込む血統。シンボリクリスエス×バブルガムフェローは芝の決め手勝負では厳しい血統だが道悪になれば父の産駒であるフジマサエンペラーが昨年２着したように急浮上する。