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2012/11/23 00:00
京都2歳S(1)
◆待望の大物登場か
シーザリオは父スペシャルウィーク譲りの爆発的な瞬発力とサドラーズウェルズの影響が強かった母キロフプリミエール(米11FG3)のスタミナを受け継いで史上初めて日米オークス制覇の快挙を成し遂げた。
絶望的な位置取りから奇跡の大逆転となった優駿牝馬、異国の環境にも対応したアメリカンオークス、惜しくも及ばなかったがマイルでのスピード能力も一級品だった桜花賞、後の重賞馬をなぎ倒した牡馬相手の寒竹賞などレースごとにそれぞれ違うジャンルの引き出しで己の存在価値を証明していった稀代の名牝だった。
その初仔であるトゥエルフスナイトは10年夏にデビューしたが一時は未出走引退も囁かれたほど体質が弱く、つねに脚元と相談しながらの調教。それでも母を管理した名門角居厩舎がなんとか出走にこぎつけた程度で勝ってしまうのだから素質は断然のモノがあった。ただ1つ下の妹ヴァイオラも蹄葉炎で引退を余儀なくされるなど、とにかく健康に恵まれなかった。
その具体的解決策として打たれた手か真偽は不明だが方向性として合理的だったのがシンボリクリスエスをつけられて誕生したシーザリオの10。すなわちエピファネイアだ。シンボリクリスエスは500キロを越える雄大な漆黒の馬体で有馬記念と天皇賞(秋)を連覇した高い競走能力はもちろんのこと、2年連続で秋の古馬王道を走り抜くなど基礎体力やタフさにも定評があった。3歳春からダービーまでの4か月で実に6戦を消化している。
しかし種牡馬としてはロベルトの血が強く出ているためか産駒は芝でのスピード不足、瞬発力に欠ける、ダート向きとの評価が広く伝わっている。ただパドックなどで見せつける圧倒的な馬体の迫力は一流のソレだから騙されてしまう例があとを絶たない。それでも骨量が豊富で丈夫な馬が目立つのは確かなだけに体質強化が急務のシーザリオにはうってつけの存在だった。そして兄姉よりひと回り近く見栄えのする馬体で“伝説の新馬戦”を飾った。試行錯誤が実ったのだ。
スローペースに対応し内で折り合いをつけると直線では次位に1秒差をつける上がり3F33.5の末脚で抜け出した。強烈な決め手はシンボリクリスエス産駒の脚というよりまさにシーザリオの仔に与えられた天性の資質だった。寸の詰まった体型で現状は2000mくらいが一番合いそうだがこの血統で成長すれば可能性は無限大だろう。臀部の発達具合からすればデビュー戦の瞬発力も一過性ではないはず。中間も一族の無念を晴らすかのように手加減なく調整されているし今回は大跳びな走りで内回りをどの程度器用にこなすか注目したい。
◆平坦内回り向きの機動力
クラウディオスの母は福島記念を勝ったオーバーザウォールで半兄に今年の菊花賞8着のフェデラルホールがいる。ステイゴールド産駒の兄も中山や福島で捲る持続力勝負に強いが阪神外回り3着→京都内回りで初勝利の本馬もネオユニヴァース産駒だけあって血統の流れを汲んでいる。ただヴィクトワールピサやロジユニヴァースのようにHaloのクロスとミスプロ系の合わせ技ではないだけに加速しながらのアクションは劣るからもう一段前でレースがしたい。平坦がベターだが京成杯やホープフルSは向く。
◆渋みのある凱旋門賞馬の成功配合
ダンツアトラスは祖母が桜花賞馬チアズグレイスで姉2頭は未勝利に終わっているがバゴ×サンデー×Northern Dancer系でHaloのクロス持ちは菊花賞馬ビッグウィークと一緒だから走るパターンを踏襲している。ビッグウィークも小倉が上手だったように器用さがあるから直線の短いコースは合っている。時計面など課題もあるが距離延長で少頭数の今回は見直してみたい。
クロフネの芝A級馬はフサイチエアデールやキュンティア、スプリングチケットなど母も芝A級馬もしくはそれに準ずる血統であるケースが多くオーキッドレイの母シェルズレイ、叔父にあたるブラックシェルも母オイスターチケットは重賞3着の成績を収めていた。ただ走るには走るが特化した分野がないのが弱点で詰めの甘さが目立つ。期待のディープインパクトをつけてきたがSS系×クロフネの先輩たちを見る限り劇的な効果は望めそうもない。