フェアウェルＳ

有馬記念は実に見応えのある好レースだった。スタートでルーラーシップがあわや落馬寸前の大出遅れ、ゴールドシップも行き脚がつかずスタンド正面前では１、２番人気が最後方に待機する波乱の幕開け。内枠を利してスッと前に行ったアーネストリーがハナで同じ勝負服のビートブラックがすんなり２番手、外からルルーシュ、内からローズキングダムが続き隊列は決まる。

前年史上稀にみる超スローの逃げを打ち自滅したアーネストリーの1000m通過は60.5で淡々と流れる。この展開を一番最初に仕掛けたのはやはりゴールドシップだった。残り4Fの標識手前で鞍上が促すとじわじわ外を捲って進出開始、ライバルの動きを確認してワンテンポ遅らせてルーラーシップも前へと迫る。

直線に入ると先行馬が横一線で並ぶが揃って一杯になると今度は天皇賞馬エイシンフラッシュが閃光の脚で鮮やかに先頭に立つが馬群を捌いて上がり馬オーシャンブルー、そして白い馬体を躍動させ外からエンジン全開となったゴールドシップ、ルーラーシップも懸命に追い縋ったがゴール寸前で力強く前を交わしたゴールドシップが３つ目のタイトル奪取に成功した。

とにかくゴールドシップは呆れるほど強い競馬をした。

7.0-11.3-11.6-12.0-12.2-12.7-12.6-12.5-11.9-12.1-12.1-11.9-12.0＝「2.31.9」

これまでのレースぶりからとてつもないスタミナと持久力の持ち主だという事は誰しもが知っていたと思うが自分の競馬に徹した姿とはいえ、いざ有馬記念の大舞台であの芸当だからゴールドシップの凄まじい能力と内田博幸の強心臓には驚嘆しかない。ラップを見れば一目瞭然だが先行勢も捨て身のロングスパートをしているがかえって消耗戦向きのゴールドシップの強さを際立たせる結果となり圧倒的な脚力に屈した。瞬発力勝負全盛の時代に古き良き時代のチャンピオンが誕生した。

リニューアルされた金鯱賞の存在意義に注目していたがここをステップにしたオーシャンブルーが早速結果を出した。番組表をいじっている関係者は感謝すべきだろう。Ｃ．ルメールの手綱に導かれ中団後ろの内で折り合いをつけ外を動いていく有力馬を尻目にじっと我慢できたことが好走の要因。相手が悪かっただけで思い通りのレースは出来た。まだ４歳だけに来年以降の更なる成長に期待したい。

秋３戦で悪童と化したルーラーシップの結果は難しい。ずっとＧ１で戦ってきて一定以上の評価を既に得ている馬だから今回の３着にどこまで意味があるのか。絶対に勝ちたかったはずなのだ。ラガーレグルスの二の舞もあった最悪の状況から立て直し外を回って上位に来るのだから普通の馬ではないが関係者の顔が曇っていたように喜べるものではなかった。４着エイシンフラッシュ以下は全ての条件が揃わないとＧ１では目まぐるしく順位が入れ替わるのも納得の面々。スカイディグニティなど若い馬たちの成長が待たれるところだ。


有馬記念の余韻もソコソコにオープン特別のダ1800m戦を予想することほど雰囲気ぶち壊しの話もないが締め括りになるし予想はする。まずハンデ戦という点にＪＲＡの悪意を感じる。ＪＣＤ３着の実績からホッコータルマエ(57Kg)が断然人気だが消耗の激しいＧ１で好走した直後にオープン特別を使ってくる人気馬を買うのは百害あって一理なし。初コースだし相手なりも否定できないから今回は消す。

無理に捻らずともグリッターウイング(55Kg)で事足りる。1000万に降級しても勝ち切れない時期があったがレパードＳでミラクルレジェンドと時計差なしの２着など元値は高い馬。春のアンタレスＳでも０秒６差６着に健闘している。霜月Ｓは初距離だったがひと叩きの効果が出て２着に好走したように舞台不問の安定感が武器。中山は相性が良いし渋った馬場も好材料。２着がやたら多い馬だが内田の豪腕で勝つ。

休み明けの花園Ｓを逃げ切ったアイファーソング(55Kg)もアンタレスＳ２着を考えれば順当な結果。マーチＳはハナを切れず惨敗したがこの相手なら自分のリズムが保てるし粘り込み期待。バーディバーディ(58.5Kg)のハンデは楽ではないが戦ってきた相手が違う。マーチＳは大外枠から58Kgで３着だし侮れない。グランドシチー(57Kg)は成績安定だが休み明けと時計の速い馬場が不安とみて好調のスエズ(54Kg)を紐穴にする。