ジャニュアリーＳ・万葉Ｓ

新年早々パンドラの箱を二つも開けることになろうとは思わなかったが目が合ってしまったのだから運命。あえて人気は意識しない。◎キョウエイカルラは短距離馬特有の脆さを抱えた馬でひとたびリズムを崩すと挽回不可能。通算５勝中４勝が二桁番であるように揉まれずにレースを運べる事が最優先。

これさえクリア出来れば少々強い相手と戦ってもへこたれない。まさにアフリート×アジュディケーティングという気分屋血統同士の見本と言っていい。準オープンに昇級してから１年近く３着もなかった馬が突然変身したのが３走前の内房Ｓ。確かに(６)(５)着とクラス慣れの印象はあったが大駆けまで予知できた人は少なかったはず。

外枠からうまく外目の中団を追走し４角で前を射程圏に捕えると直線では更に脚を伸ばして１番人気のカフェシュプリームを競り落とす堂々たる競馬。上がり3F12.4-11.9-12.2が示すように前も止まったわけではないから価値が高い。昨年良馬場の中山ダ1200m戦は56Rあったが1分10秒台の決着はジャニュアリーＳ、仲冬Ｓ、カペラＳ、そして内房Ｓだけ。

シルクフォーチュンの勝ったカペラＳとは０秒１差だから今回も出走している当時３着のシセイオウジや４着マルカバッケンと比較しても遜色ない実力にあるのは明白。室町Ｓは１０着だが０秒４差だし太秦Ｓ(１５着)は出遅れで参考外と悪くない内容でも着順で人気が急降下するのがムラ馬だから正直人気に関してそこまで面を食らう必要はない。

外枠で軽量の「52Kg」そしてこのクラスにしては同型が少なく展開利も見込め、まさに絶好のチャンス。属に牝馬の引退レースは手を出さないが定説だが１月上旬はまだ早い決断。つまり今後の番組を考えても勝負になるレースはないと陣営が踏んだ。裏を返せばこれだけ条件の揃ったここは本気と解釈してもよかろう。引退花道を見事飾る。

マルカベンチャーの霜月Ｓ(４着)は普段終い勝負で詰めの甘い馬が色気を出してポジションを取りにいって伸びを欠く典型の競馬。霜月Ｓまでは５戦連続で最速の上がりをマークしていた切れ者でとにかく末脚は堅実。中山は１度走って５着だがカペラＳでの記録だから適性も上々。オープン特別では能力上位だし巻き返してくる。

ダートのオープン特別を昇級初戦で通用するのは連勝馬か準オープンでも安定していた馬というデータを昨年抽出した。ペース、相手関係の壁は大きい。ただこの条件の常連となりそうでいきなりの可能性を秘めているのがエクセルシオール。初ダートのアクアラインＳ(稍重)で前半3F33.2の猛烈なペースを刻んで逃げ切った姿は狂気の逃げ。オープンでも鈴をつけるのが難しい快速馬の一人旅も十分ある。

地力で勝ち切る能力には乏しいがエクセルシオールの逃げで先行勢が潰れてしまう展開なら後方待機勢の出番。太秦Ｓ(２着)はまさかの先行策で内を掬った味のある競馬が光ったエベレストオーは斤量減での出走が魅力。カペラＳ３着のシセイオウジも中山相性抜群だけに警戒だが軽めの調教は気になる。マルカバッケンはどっちつかずの脚質がここでは不利で入着級。

【万葉Ｓ】
昨年長距離界で頻発した穴馬の逃げ切りの数々。思えば当レース(ゴールデンハインド)が発端、火付け役だったのかもしれない。今年はスタミナに絶対的自信を持つゴールドシップが阪神大賞典→天皇賞(春)に参戦する予定だが他のレースの状況は大きく変わるまい。折り合いに専念し過ぎて仕掛けが遅れて前残り・・・。この傾向は常に頭に入れておきたい。

ハンデ差１０キロでどの馬からも買える大混戦。近走の成績がソコソコで軽ハンデ、内目の枠を引いたタニノエポレット(53Kg)やセイカプレスト(51Kg)は人気してしまって旨みはない。ステイヤーズＳで古豪健在をアピールしたトウカイトリックでもう一丁ないか。時計が速すぎると良くないが前走のレースぶりはやはり安心安全の長距離適性。

昨年は３角から空馬がずっと蓋をする格好で立ち塞がったため仕掛けが遅れて６着に敗退したが過去２度の優勝を誇る相性の良いレース、道中ロスなく回れる内枠を引いたしハンデも背負い慣れた「57.5Kg」ゴールドシップを操った内田博幸ならば多少ズブくても動かせるはずだ。大外枠は不利だがマカニビスティーも昨年のように早目に競馬出来れば差はない。