エルフィンＳ

◆七冠馬が別次元
ディープインパクトはFair Trialの俊敏さとHalo的な柔らかさを併せ持った馬で素早く大きく動ければそれは歴史的名馬になる。ただその母ウインドインハーヘアはFair TrialとHyperionの継続クロスにハイインローだから本来は粘り強さと持続力を優先的に伝えやすい。ディープ以外の馬が苦戦しているのもこの影響が強いからで色々な意味でディープが異端。

ネオユニヴァースはHyperionとLady Jororの粘り強さとSicambre系の泥臭い斬れ味で走った馬でサンデーサイレンス産駒としては超Ａ級の斬れを保持しているとは言えなかった。この独自の血統を掘り出して走らせてしまう辺りがサンデーの偉大さである。だからネオ産駒だとヴィクトワールピサやロジユニヴァースのようにHaloのクロスなどでスピードや柔らかさを引き出すのがツボ。

今もなお種牡馬として競馬界に君臨するディープインパクトの妹とあってトーセンソレイユも誕生した瞬間から使命をもった馬で出走してくれば注目の存在だから取り上げたがこの配合だとモロにFair Trial×Hyperionの継続クロスとハイインローの粘り強さオンリー。新馬戦にしても前半5F64秒4のスローを２番手から押し切っただけ。推進力のない走りも気になった。中山や阪神内回りの中距離向きで距離短縮も×。

◆大きく回ってゆったり斬れる
ディープサウスの母ストレイトフロムテキサスはナッソーＳ(加Ｇ２)など米８勝、半妹に新潟２歳ステークス３着のクロフォードがいる。三代母Drone QuiがPrincequillo4×4、Nasrullah≒Royal Charger4×4･5という工夫のある血統構成でナスキロ的な柔らかさにかけては申し分ない。白梅賞(４着)は新馬戦とは打って変わった流れだったし必要以上に下げ過ぎたのが敗因。少頭数の京都外回りなら本命に推せる。

◆器用なレース巧者
ウリウリの祖母リアルナンバーはヒルベルトレレナ賞(亜Ｇ１)の勝ち馬で曾祖母Numerariaも亜1000ギニーを制しておりアルゼンチンを代表する名牝系。ディープ×フレンチデピュティにはマウントシャスタがいてこれはナスキロの柔らかさで直線の長いコースを得意としているがウリウリはHalo3×5だから無駄のない脚捌きでBlushing Groomのパワーとスタミナで捲ってくる競馬が合う。前走を見ても正直外回り替わりは微妙だが調教が出色なだけに評価が悩ましいところ。

◆強度チェックが重要
ステイゴールドは自身の非力さ(現役時代急坂コースでは未勝利)をその産駒では頑健さで補う事で活路を見出し、ノーザンテーストを増幅させたオルフェーヴル、ゴールドシップなどで大成功を収めている。だから賞金上位馬はほとんどNorthern Dancer系との配合。ウインプリメーラの母父はミスプロ系のフォーティナイナー。これだと柔らかく軽すぎる。

アルコセニョーラは母父モガンボ(ミスプロ系)だったがNijinskyがあって中距離向きの芯のある末脚を持っていたがウインプリメーラは母母父がRoberto系のKris S.。Mr. ProspectorとRobertoの血を両方引くと小回り・急坂・洋芝・ダートに傾くパワーがONになりやすい。不利を受けたフェアリーＳ(８着)は参考外だが外回りだと最後何かに差される心配は拭い切れない。

グッドレインボーは母がクロフネとエリザベス女王杯４着のナギサの配合で叔母にＴＣＫ女王盃を勝ったサウンドザビーチ。Icecapade5×5≒Northern Dancer5×5になっており頑健さはあるのだが力馬っぽいパワーの効いた走りで京都よりは前走勝った阪神向き。新馬ではメイケイペガスターの2着で3戦3連対と崩れていないのは不気味だが平坦だと少し見劣る。

ストークアンドレイはクロフネ×Silver HawkでRoberto5×3に祖母がHyperion5×5×5だから洋芝向きのパワー型短距離馬。

タンスチョキンはストラヴィンスキー×Seattle Slew×Danzigでまんま米血脈のダート短距離馬で芝だと最後のひと押しが絶対的に不足。

ナンヨーユナはジャングルポケット×サンデーサイレンスのニックス配合で皐月賞馬ナリタタイシンの姪だからマイルだと緩慢になりやすくトールポピーの阪神ＪＦのように激流になった方がいい。東京の中距離で追い比べだと手強い血統だ。