きさらぎ賞

ディープインパクト産駒が登場して以来トーセンラー、ワールドエースが連覇し昨年に至っては１?３着を独占。京都1800m施行の３歳限定のオープン特別以上(つまりきさらぎ賞と白百合Ｓ)で[4-2-1-4]そもそも京都1800mの産駒全体成績が[29-17-12-64]で勝率23.8％、連対率37.7％、複勝率47.5％は他の追随を許さない断然の数字となる。

リグヴェーダはダートの鬼だったゴールドアリュールやゴールスキーの半弟。Nureyev×Nijinskyの重厚な配合にナスキロのクロスが効いて中距離の本格配合だが重厚さが主張しすぎると鈍重になる紙一重の血統。新馬(阪神1800m)は中団から外を回って差し切ったが上がり3F12秒6-11秒2-11秒6は平凡で京成杯を見送った影響やキャリア１戦の不安が先に立つ。

萩Ｓを勝ったインパラトールはマイル?中距離の重賞で活躍したマグナーテンの甥で母マジックナイトはジャパンＣでゴールデンフェザントの２着。字面だけなら一級品に育つ器だがStorm Catを挟んでいるのが最大にして最悪の弱点。２戦連続上がり最速をマークしているがLyphard4×5でハイインローだから前受けで距離も2000mまでが限界。

ラストインパクトも叔父にナリタブライアン、ビワハヤヒデのいる超良血だが祖母のパシフィカスがHyperionの粘り強さが強調される配合でここに同じようなHyperion4×5のティンバーカントリーだとディープのスピードや斬れが霞んでしまう。これは本質的には外回りより内回り向きだと思うが上がりの掛かる馬場になってきており軽視は禁物。

ざっと見ると実は今年のディープ産駒はキレキレの末脚勝負型がいない。順番的にはインパラトール＞ラストインパクト＞リグヴェーダだがインパラトールも休み明けで仕上げてはこない。つまり上位独占の可能性は限りなく低い。一角崩しをテーマに考えていたが思考一転。堂々首位戦線とみてアドマイヤドバイに◎を打った。

叔父にアドマイヤフジ(日経新春杯、中山金杯連覇)やアドマイヤコスモス(福島記念)のいる良血で祖母アドマイヤラピスは重馬場のステイヤーズＳ２着や嵐山Ｓ(3000m)など豊富なスタミナを武器とし活躍した長距離馬。サンデーサイレンス産駒の母ロイヤルカードはその初仔で未勝利に終わったがアドマイヤダンクがダートでオープンまで出世している。

父アドマイヤムーン(父エンドスウィープ×母父サンデーサイレンス)はドバイＤＦやジャパンカップに優勝した名馬。血統は完全にマイラーで2000m以上で結果を残したのが不思議なくらいだが母母父Kris S.のスタミナが良い働きをしていたのだろう。基本はペラいミスプロ系の認識で母系にパワーやスタミナの血を補給すると均整とれた感じになる。

アドマイヤドバイは双方の欠点がうまく解消された配合で父の速力を前面に母方のハイインローで踏ん張る戦法が合う。そして注目すべきは来るべき時代の到来を告げるサンデーサイレンス3×2の強クロス。現３歳のＡムーン×ＳＳはロードクラヴィウスがダートで２勝、プリフォンテインが新馬を勝ち上がっており今後必見。これが柔らかい斬れを生めば面白い。

新馬から(2)(3)着ときて３戦目の京都1600mを前半4F46秒9-上がり3F12秒2-11秒5-11秒9＝「1分34秒7」この内容を２番手から押し切れるのはマイラーとして優秀な資質を示すもの。昨年良馬場でおこなわれた２歳の京都マイル戦としてはデイリー杯２歳ステークスと並んで最速タイで同週の古馬準オープンとは０秒６差。

マイラー適性が高いとクラシックは縁遠い話になるがラジオＮＩＫＫＥＩ杯２歳ステークス(５着)と福寿草特別(２着)で少し考えを改めた。サダムパテックに似た雰囲気を感じる。この時期重賞実績のあった馬と比較するのも酷な話だが陣営も自信を持っているしクラシックに挑戦できる立ち位置にはある。ここで好走できれば展望が一気に明るくなる。

対抗はラジオＮＩＫＫＥＩ杯２歳ステークスでエピファネイア、キズナと叩き合って２着を確保したバッドボーイ。強敵相手の経験値は非常に大きい。ゲシュタルト、メイショウドンタク、ダイワバーバリアンなどマンハッタンカフェ×ミスプロ系には京都が得意な馬が多い。

特注はマズルファイヤー。前走は脚質変更し４角先頭で押し切って楽勝。成長も当然だが積極策でこそ能力全開となるホワイトマズル産駒の真骨頂。母父Saint Balladoの父はHaloでサンデーサイレンスと似通った血統構成になっておりＷマズル×サンデーは07年のアサクサキングスと一緒、10年に大逃げでオルフェーヴルに先着したリキサンマックスも父Lyphard系(キングヘイロー)外回りコースでハマれば一発十分。