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2013/02/17 14:30
フェブラリーS
アドマイヤドン、カネヒキリ、ヴァーミリアン、エスポワールシチー、トランセンド。近年ダート路線の権威を示してきた砂の絶対王者たちも優勝した翌年以降のフェブラリーSを境に揃って成績を落としている。理由は2つ。
年を重ねてまず衰えるのがスピードである点。マイルという一息で駆ける距離における速力弱体は致命的である。そして勤続疲労や摩耗。当然若い時のようにいかないのは人間も馬も同じ。G1連戦をこなしていても体力回復の仕方が違う。
ダートのサイクルは晩秋から真冬にかけてピークを迎える。一流層はビッグレースを2?3戦ほど走って締め括りたるフェブラリーSのケースが多い。根本的なスピード減に加え、疲れが癒えぬままの状態では苦戦も頷ける。これがフェブラリーSを2度勝った馬がいないからくりである。
昨年9頭を送り込んだトランセンドを筆頭とした現7歳世代は今年も7頭がエントリーし上位4頭もそっくりいる。JRAダート重賞25勝+交流G1を5勝。過去3年でフェブラリーS4連対、JCDも過去4年で6連対。とにかく厚みがある。
4歳世代3頭はまずまずとしても5歳世代1頭、6歳世代3頭の光景は異様。JCDを6歳世代(ニホンピロアワーズ)東京大賞典を5歳世代(ローマンレジェンド)が制し、時を同じくしてトランセンド、エスポワールシチーの完全陥落。
これで世代交代が進んだと思いきやこの2頭が突発的存在で実は全体の勢力図はほとんど変わりないのではないか。これに注目するフェブラリーS。
トランセンド引退で目下この世代を牽引するのはワンダーアキュートでJBCクラシック以降G1を4戦し(1)(2)(3)(2)活躍は目立つが川崎記念の内容を見ても明らかに消耗してデキが落ちている。昨年3着しているが本質的にはマイルも忙しい。
◎テスタマッタの偉業達成に賭ける。連覇を阻まれた過去の馬と差別する上で一番大きいのがゆとりのあるローテであるという事。G1馬は大体JCD、東京大賞典、川崎記念を挟んでくるがテスタマッタの秋シーズンはJBCクラシックのみ。これも道中掛かり通しで全力を尽くしたとは到底言えなかった。
この後は右の飛節を痛めた関係で放牧、ここから焦らず立て直して始動は根岸ステークス。夏に交流G2を使うなど王道キャラを要求されない気楽さが連覇の下地を作っている。その前走は急仕上げ+「59Kg」で陣営のトーンも低かったが地力で0秒3差6着。掛かりながら最後伸びてくるあたり前向きなスピードに陰りはないと判断できる。
岩田騎手が根岸ステークスで3着に導いたセイクリムズンではなく、テスタマッタを選んだのも既定路線。勝負になると踏んでいるからこそ早目の名手確保ができる。圧倒的な爆発力で直線独走した昨年は先行争いが激しく前半3F34秒7-4F46秒6のHペースでハマったとの見方もあるがこの距離なら展開不問で弾ける豪脚だろう。
まして今年は芝のG1馬カレンブラックヒルが参戦し昨年ハナを切ったセイクリムズン、JBCスプリントの覇者タイセイレジェンド、エスポワールシチーが揃っており緩い流れは考えづらい。中間も順調そのもので鞍上が呼吸を合わせて登坂する姿が印象的だった。
追い不足だった前走時より体つきも締ってきた。最終追い切りでは前半ゆったり入って直線末脚を伸ばすイメージで動き良好、連覇を意識できる状態に仕上がった。うず高く積まれた砂塵の壁をぶち壊しダート界新章の幕開けを告げる。
7歳にして待望のフェブラリーSを使う○ナムラタイタンが大本線。東京マイルでは[3-1-0-1]で内訳も武蔵野S1着、OP特別2勝2着1回。昨年のオアシスSは「58Kg」を背負って3馬身半差の完勝。以前は距離が持たなかったがJCD(7着)東京大賞典(4着)と一線級に揉まれつつ能力をつけて東海Sは前崩れの展開を粘って2着。スキルアップで臨む得意舞台で好戦必至。
次代の担い手グレープブランデーの完全復活が▲JDD優勝から故障で競走生活は暗転したが根気強く陣営が立て直し東海ステークスで1年半ぶりのV。中団で差す競馬だったが目論み通りの末脚を披露。馬群を割って抜け出す時の脚は速かった。全盛期のヴァーミリアンが距離短縮も全く関係なかったように若さ故の特権は必ずある。
昨年2着のシルクフォーチュンはカペラSからの直行になるが状態面は万全。横山典弘とも手が合うし一発ある。ガンジスの堅実さは認めるが流れが向いた根岸Sで勝ち切れなかったのが現状の限界。イジゲンも気性的に成長がないとG3は勝ててもG1では厳しい。カレンブラックヒルについては血統や走法は関係ない。『初ダートがG1』の事実を重く受け取るべきである。