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2013/03/03 13:00

弥生賞

絆。主役はこの馬のはずだった。しかし屈辱的な返り討ちで立場が一気に危うくなった。いくら優秀であっても戦の場に不在の剣豪に用はない。賞金が足りなくては二進も三進も行かない。誰が見ても皐月賞は土俵際。皐月賞がダービーへの最短距離だとするとこの一戦に懸かる比重は相当。この弥生賞はたかがTRではない。

気の進まない作業でもまずラジオNIKKEI杯2歳ステークスの敗因を明確にしなければならない。前半5F66秒0の遅い流れは他馬も未経験のペースで条件は同じ。メンバー的にも予測はついた。これを見越してスタートから気合いをつけて好ポジションを取りに行ったことで、これまで出たなりの競馬をしていた絆が初めて折り合いを欠いた。

賢い馬で乗り手の指示に従順だからこそのアクシデントだった。後半こそ力みの抜けた良い走りだったが前半の体力ロスと勝負どころで追っ付けた影響で直線は思ったような脚が使えず大将エピファネイアに後塵を拝し、名前通り悪名高い浪人たるバッドボーイにまで斬られた。ただこの初黒星は前向きに捉えたい。

連勝中にはなかった動きを加えることで競馬の幅は確実に広がったからだ。弱点とまではいかなくても新たな一面を見たのは陣営にとっても大きな収穫だ。『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』孫子の兵法だ。この時期、案外一番避けたいのは無敗で本番を迎えてしまう事かもしれない。負けパターンを知っておくのも重要な戦略だ。

生涯負けなしで百戦錬磨だったされる、かの有名な宮本武蔵だが実は強い相手には理由をつけて勝負を断り、日を改めておいて、自然と立ち会う機会が失せるのを待っていたという説がある。かつて生死を賭ける戦いであった武道の目的は勝つことではない。それは「負けないこと」だった。己の弱さも理解していたからこそのエピソードと言える。

クラシックを狙うのにドサ回りしている場合ではないが通ずるものはあるはず。その武蔵が死の間際まで執念で筆をとり続けたとされるのが地水火風空の五巻からなる「五輪書」この中の武蔵晩年の心境を描いた「空」で「空有善無悪、智は有也、道は有也、心は空也」と「兵法を究めることが善の道」と説いている。

兵法には剣技以外に、人身掌握術や対人関係の心構えなど様々な面がある。武器(道具)はその機能を熟知し完全に使いこなすことが大切。難題に対しても個々の問題を一つずつ着実に解決していけば何とかなる。何事にもタイミングやリズムが必要、等々懇懇と説いている。その教えは現代社会にも通じる。

2月上旬に帰厩してコース追いを解禁し坂路と併用でじっくりと調整。1週前には不良のCW(一杯)で【6F83.0-3F38.6-1F12.3】の好時計。落ち着きがでてトモの筋肉も強化、放牧で成長を促したことが心身ともに効果をもたらしている。今週は坂路でも【4F55.0-3F40.6-1F13.2】鋭い反応で切れ味を確かめた。前走太かった体も絞れる仕上がりだ。

重責を担うのは元祖優勝請負人で弥生賞男の武豊。手綱がここにある限りはこの人の復活なくしてキズナの躍進はない。一時、休戦し共闘を誓う覚悟。強力なメンバーが揃っておりプレ皐月賞として機能すること必至。ひと冬過ごしておおよその力関係は見えてくる。権利獲得は至上命題としても、その先の展望まで意識した結果を求めたい。師走仁川の仇は弥生中山で討つべし。捲土重来を期すキズナの春が始まる。

当然、一度敗れているエピファネイアが強敵になるが競馬を教え込んできた福永祐一の離脱は少なからずダメージはあるはず。前哨戦以上に仕上がってもいるがそれ以上に権利が欲しいヘミングウェイの勝負気配が怖い。父ネオユニヴァースHaloのクロスはヴィクトワールピサ[3×4]ロジユニヴァース[3×5]と一緒で脚捌きが軽く中山を機敏に立ち回れる配合。調教でも併せたネオヴァンドームを問題にせず先着しているように絶好調に近い。

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