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2013/04/07 12:00
桜花賞
この時を待っていた。魅了されてはや十数年、世界に誇る歌姫浜崎あゆみが8日にデビュー15周年を迎えるその前日、まるでその運命に導かれるように一頭の牝馬がanniversaryVで桜の女王を戴冠する。ファンとしてこれ以上劇的な物語があるだろうか。
メジャーデビュー曲poker faceで66,720枚を売り上げた18歳の少女の軌跡を辿るべく、アユサンも上がり最速の33秒6で突き抜ける鮮烈なデビュー。次走のアルテミスSはゲートで後手を踏み道中では最後方付近を追走する展開となったが直線大外に持ち出されると再びその才能が輝きを放つ。
先に抜け出していた馬たちを一気に飲み込んでコレクターアイテムと馬体を並べた叩き合い。僅かに及ばず2着だったが上がりはまたしても最速の33秒5。内をソツなく回ってきたコレクターアイテムに対してロスの大きい進路での好走は確かな脚力を示すに十分。G1馬ロゴタイプがベゴニア賞で樹立したレコード「1分33秒6」とコンマ0秒2差だ。
本家が2作目のYOUで114,490枚、3作目のTrustで206,290枚と短期間に急上昇曲線を描いたように2戦目で重賞を選択したのは今に思えばふさわしい道でその非凡な能力を世間に見せつけるきっかけとなった。その後ミリオンヒットを次々と飛ばしたあゆも大きく数字を落としたのが4作目のFor My Dear(97,160枚)アユも3戦目の阪神JFで壁にあたる。
元々、体質が弱く新馬戦前に熱発したり阪神JF前もソエで本調子とは言えないデキ。それでも強い精神力でなんとか輸送をクリアし、内伸びの馬場で大外枠という不利にも抵抗し0秒6差の7着に食い下がった。あゆも決して恵まれた境遇からの歌手スタートではなく、2000年のコンサート直前には左耳に疾患を患い苦しみながらも治療のために休養をとることなく頑張り抜いた。
アユは3歳始動戦にクイーンCを予定していたが今度は後肢を痛めて自重。順調さを欠きながら賞金面でやむなく参戦となったチューリップ賞で秘めたる潜在能力の一端を発揮し3着。しかもこれまでにはなかった先行策という新たな一面を見せての結果だけに収穫のあった一戦。曲調に変化をつけた5作目のDepend on youであゆが勢いを取り戻したように新たな風が吹き始める。
才能に溢れるものはある日突然覚醒するというが若き乙女もチューリップ賞後の栗東滞在から急成長を遂げてきた。調教の反動が出やすい馬だったが1週前の28日にCWで一杯に追われて[6F79.4-5F64.5-4F50.4-3F36.9-1F12.1]を計時すると最終追い切りでは馬也ながら[6F82.0-5F65.5-4F50.5-3F36.7-1F12.7]
長めからゆったりとしたストライドで馬場の重さを感じさせない弾むようなフットワークで素晴らしい単走の動き。見守った手塚調教師も「前走よりはるかにいい。先週、今週とこれだけ強い調教をやっても弱い部分が出ない」と激変に舌を巻くほど。軽めのポリトラック調教しか消化できなかった前走時とは雲泥の差だ。
右回りのコーナリングを不安視する声もあるがそれは体調が整わず苦しい部分があったからだろう。死角にはならない。マルセリーナ、ジェンティルドンナと連覇中のディープインパクト産駒で外回りのマイル戦は持ち味の瞬発力を生かすには絶好の舞台。主戦だった丸山騎手の離脱は無念だがC.デムーロ騎乗なら代役以上の大仕事を引き受ける。
今はまだ花咲かぬ小さな蕾も開花の時が刻一刻と迫る。あゆも3?7作目まではオリコンの最高位が(9)(9)(6)(5)(4)に留まったが8作目のBoys&Girlsで1,037,950枚のミリオンを達成し殻を破った瞬間、名実ともにノンストップで歌姫への階段を上った。キーワードは「苦労の末に掴んだ栄光」あゆの全盛期にも強敵は多かった。今年の桜花賞も大混戦の様相を呈しているが最後は持って生まれたスター性が眩いばかりの世界へと誘ってくれる。
前半3F34秒1-4F45秒9の厳しい流れで「1分34秒2」とHレベルな決着となった阪神JF組は強い。まずはこぶし賞→フィリーズレビューを連勝中のメイショウマンボ。内回り1400mでの差し切りで力を確信。本質的には母系のナスキロでかなり柔らかく切れるから外回り向き。武幸四郎がリトルアマポーラの雪辱。
アルテミスS1着、阪神JF4着のコレクターアイテムも桜の舞台に見合う成績。クイーンC(9着)は展開に泣いただけで悲観する必要は微塵もない。これに安定感ある重めの馬場は向くウインプリメーラ、実績豊富なクロフネサプライズ、血統的に穴要素満載のサンブルエミューズ。大幅馬体減でガレたローブティサージュと間隔を空けても馬体が回復しなかったトーセンソレイユは切る。