京王杯ＳＣ

京王杯スプリングカップは安田記念の前哨戦たる役割を担うわけだが、多くのＴＲや前哨戦と同じように本番とのギャップがある。とくに1400mと1600mは元々その歪が最も大きいと考えられるだけに出来るだけ両者の関係に一貫性を求めることなく切り離して予想に取り組む必要がある。

それでも古くは93年ヤマニンゼファー、97年タイキブリザード、98年のタイキシャトル、最近だと05年アサクサデンエンの連勝や99年グラスワンダー対エアジハード、０３年から４年連続で３着以内を確保したテレグノシス(安田記念最高２着)など「200m」を乗り越えた馬は数多くいるし、一流と呼ばれる存在には負けが許されない空気もあった。

ブラックホークやスーパーホーネットのように年を跨いでどちらかを好走する場合もあるから東京の1400mと1600mに大差はない。近年、両者の関係が揺らいでいるのは進みすぎた分業制とより緻密かつ高度となった戦略論、そして絶対的に君臨する王者不在ゆえの緩んだ空気が蔓延した弊害なのかもしれない。

このレースを解くカギは展開にある。ＮＨＫマイルカップを見ても分かるように東京コースは余程恵まれない限り基本は逃げ先行馬に優しくない。京王杯スプリングカップは09?11年までゆったりした流れからの決め手勝負で無理なく好位につけて脚を伸ばせるスプリンター適性の高い馬が狙いと予想した直後に前崩れの大波乱となったのが昨年だった。

馬場差もあるが34秒台後半?35秒台であれば平均か落ち着いた流れだし、逆に34秒台前半だと後方勢は俄然色気づく展開。11年に前半3F35秒0のマイペースで２着に粘り込んだシルポートはまさに自身の逃げ残り目安だったわけで理想は気楽に単騎だが今年は前走でハナを叩かれたタイキパーシヴァルをはじめテイエムオオタカやパドトロワ、レッドスパーダなど同型が煩い。

更に土曜は昼前後からまとまった雨の予報でメインの頃には道悪になっている可能性も高い。この条件が重なった時こそ、フラガラッハが大外一閃のチャンスだ。昨秋から(14)(17)(11)(8)(10)着と散々な成績となっているがマイルＣＳの１秒４差負け以外は悪くて０秒９差と着順ほど内容に崩れはない。追い込み馬の宿命によるムラと解釈したい。

２走前の阪急杯は開幕週＋強力な先行馬相手の大外枠で厳しい条件だったが課題の発馬を五分に決めると４コーナーを好反応で通過し直線も上がり２位となる３４秒１の末脚でロードカナロアと０秒５差。暮れの阪神カップのいかにも鈍かったレースぶりからすれば徐々に復調しているのは疑いようがない。

前半4F47秒7-5F60秒0の超スローで直線も11秒3-10秒7-12秒0の上がり勝負だった六甲Ｓは４角１６番手、直線大外では手も足も出ないのは仕方ない。同舞台の米子Ｓでもっと遅いペースを差し切っているが当時とは相手や馬場状態がまるで違う。連勝で重賞初Ｖを飾った中京記念も荒れ馬場の大外を急襲したようにやはり脚質的に注文がつくゆえに上がりや馬場に左右される面が大きい。

だから東京の高速馬場は守備範囲とは正反対のベクトルになるが展開と馬場の両方が同時に味方しそうな今回は願ってもない絶好機に早替わり。Northern Dancerのクロスと父デュランダルが持つノーザンテーストの硬さがＯＮになった配合でトニービンの持続力が加われば東京の渋馬場で浮上する画は想像に難くない。自慢の剣で一刀両断◎だ。

ダイワマッジョーレ(15番)はレベルの高かった金鯱賞から重賞２着が３回。新潟大賞典のアドマイヤタイシほどではないが安定勢力はとりあえず買い。ダービー卿ＣＴ(２着)で蛯名騎手が「1600mに限らず、もっと距離があってもいいと思う」とコメントしていたので1400mへの対応がポイントも広いコースでスタミナもいる馬場になれば勝負になると踏んで対抗。

フィフスペトル(12番)は東京[0-1-0-4]だがＮＨＫマイルカップ５着(０秒９差)や昨年の安田記念７着(０秒７差)があり、２年前の当レースは内枠でどん詰まって６着(０秒４差)否定するほどの適性薄ではない。マイルＣＳ２着もある実力馬が叩いて上昇気配。浜中騎手は都大路Ｓのヒストリカルを断っての参戦と推測されるだけに大駆け警戒。

内枠で馬場が悪化してくるとどうかだが東京1400m得意のフジキセキ産駒シャイニーホーク(小牧騎手が手の内に入れている)道悪鬼のキョウエイマーチが祖母のトライアンフマーチ(距離短縮歓迎)純粋な決め手比べにならなかった際のトウケイヘイロー(父はパワー型のゴールドヘイロー)が抑え。連覇を狙うサダムパテックは割り引き材料多く見送りが賢明。