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2013/05/12 08:00
ヴィクトリアマイル
人気の中心は牝馬3冠+エリザベス女王杯、すべて2着の珍記録を作ったヴィルシーナ。ジャパンカップを制し、ドバイSCでも2着に好走したジェンティルドンナがライバルとはまさに相手が悪かったの一言。目の上のたんこぶが消えたエリ女でも攻めの競馬は光ったが外からレインボーダリアの急追に屈し、またも夢は潰えた。
4歳シーズンは雪辱の年。始動戦にあえて強豪牡馬が相手の大阪杯を選んだのが強い決意か。0秒8差6着と微妙な結果に終わったが実力通りなら牝馬限定では上。問題は負け癖とマイルは自分の土俵ではないという点。クイーンCは中距離並のスローだったし桜花賞も地力で3着以下を抑えた感じで決して合ってはいなかった。この距離での苦戦は頭に入れておくべきだ。
今年で8回目を迎えるヴィクトリアマイル。牝馬同士の一戦とあって一筋縄ではいかず3着以内21頭中7番人気以下が8頭もいる穴党にとっては歓迎すべき盛況ぶりだ。しかし荒れているわりに絞り込みは案外難しくない。
パターン(1)→前走で好成績を収めているのにも関らず諸事情によりワケあり
07年12番人気1着 コイウタ 前走ダービー卿CT2着
08年 5番人気1着 エイジアンウインズ 前走阪神牝馬S1着
09年11番人気2着 ブラボーデイジー 前走福島牝馬S1着
09年 7番人気3着 ショウナンラノビア 前走卯月S1着
10年11番人気3着 ニシノブルームーン 前走中山牝馬S1着
パターン(2)→十分な実績を有するも前3走以内の凡走で評価を落としていた
07年 9番人気2着 アサヒライジング 前走阪神牝馬S8着 前年G1で複数好走
07年 8番人気3着 デアリングハート 前走ダービー卿CT6着 前年G3を2勝
10年 8番人気2着 ヒカルアマランサス 前走阪神牝馬S13着 2走前G3優勝
12年 7番人気2着 ドナウブルー 前走中山牝馬S11着 2走前G3優勝
他の有力馬もG1では決め手に欠ける一歩足りない面々だから波乱必至の大混戦とみていい。この一年で心身ともに大きく成長したオールザットジャズに◎をうった。2番人気で臨んだ昨年はエルム街級の悪夢。全く競馬をせずに屈辱の惨敗。おそらくそれを昨日の出来事のように悩まされてきた人々が多いからほぼ同じローテと成績でも評価は伏兵。
そもそもオールザットジャズは爆発的な切れ味を最大の武器とする半面で使える脚が一瞬という弱点がある。だから小回りコースに良績が偏りがちで昨年のVMや府中牝馬Sのように直線の長い東京などで外枠に入ると脚の使い所が非常に難しくなってしまう。しかしそのイメージを払拭しかけたのがエリザベス女王杯だった。
直線の長い京都、オープンでの実績はなかった2000m以上、重馬場と苦しい条件が揃っていたが果敢に先行すると3角過ぎに捲ってきたエリンコートにつられる形で一気に進出。誰の目にも早仕掛けは明らかだったが残り200mでは完全に先頭。ラスト100mで脚勢が衰えて後続に捕まったが素晴らしいアタックだった。差し追い込み決着の中で先行して残ったのはヴィルシーナとオールザットジャズだけだった事からも価値の大きさが窺える。
日経新春杯は調整ミスもあってさすがに大敗したが56キロを背負っていた愛知杯や中山牝馬Sも安定の走りを披露。福島牝馬Sは一頭大逃げの展開となったが中団前目で脚を温存すると12秒3-12秒1-11秒9の加速ラップを直線スパッと差し切り連覇達成。円熟味を増した貫禄の勝利はピークの到来を告げるに相応しい。
時としてスケールや底力がSS軍団を上回る可能性を秘めているのがロベルト系。サンデーサイレンス全盛期に互角以上に渡り合ったブライアンズタイムの勝負強さをタニノギムレットも受け継いでいる。オールザットジャズもウオッカのような万能型に完成した。タニノギムレット産駒の重賞21勝中11勝は東京で5勝はマイルだから適性は間違いなくある。
1枠2番だからロスは最小限に済む。08年ウオッカの安田記念や07年アドマイヤムーンのジャパンカップを再現するように岩田騎手は好位から素早く抜け出してレースを決めたい。そういう立ち回りで掴める位置に女王の座はある。最終追い切りも軽い脚捌きで併走も楽に先着。昨年より大幅に厚みのある馬体で万全の仕上げ。馬場は不問だが雨上がりの東京は『排水マジック』で内有利。ゴールで痺れるジャズの音を届けてくれるはずだ。
同じく非サンデー系でパターン(1)に該当のマイネイサベルが相手筆頭。こちらも直線で詰まった昨年の無念を晴らしたい。C.デムーロがオールザットジャズを蹴って参戦する阪神牝馬S2着のイチオクノホシも上昇顕著で一発十分。好相性の京都牝馬Sを勝ったハナズゴールもV戦線。