平安Ｓ

Ｇ１馬ニホンピロアワーズとハタノヴァンクールが別定重量で59Kgを背負う。ダート路線の整備が進み、国内外問わず選択肢が広がったため、この酷なイメージの強い斤量帯もあまり見かけなくなった。前哨戦のＧ３やＧ２を厳しい条件で勝ちに行くのは非常にリスクが高く、ファンとしても不様に散る姿は歓迎しないから双方にとってメリットのある方向に良くなっている。

近年ダート王者と呼ばれた馬たちもエスポワールシチーが12年エルムＳ(2着)1１年名古屋大賞典(1着)で背負った他はカネヒキリが10年マーキュリーＣ(1着)、サクセスブロッケンが09年武蔵野ステークス(10着)でぞれぞれ１回ずつ経験しているくらいでドサ回りで稼ぎまくったスマートファルコンはなし。

トランセンドは10年みやこステークス(1着)を最後に引退の12年東京大賞典まで１１戦、ヴァーミリアンに至っては07年川崎記念(1着)から４年近く計１９戦ずっとＧ１ばかり使われた。それが今回は２頭同時に出走してきたわけだから上記の名馬級とは言わずとも豪華である事に変わりはない。

ただ問題となるのは勝ち負けの話だ。２頭とも帝王賞に照準を合わせたローテを敷いているのは明白。アンタレスＳ(2着)で既に59Kgにメドを立て、有利な白帽を引いたニホンピロアワーズは俄然好走確率が高まったが、距離が少し短く、中央の砂質もフィットしないハタノヴァンクールは切ってもよかろう。

ニホンピロアワーズも主力視はするが勝ち切れる保証となるとグンと下がるから扱いは無難に３番手とした。次週のダービーとの兼ね合いで今年まだ重賞勝ちのない福永騎手には少し自重して欲しい(※ダービーに乗る騎手は安全運転が多くなる)ところだが雑念に惑わされず上昇必至の５歳マルカプレジオに◎をうった。

ダート７戦４勝でオープンまで駆け上がっての参戦だった仁川ステークスはスタート直後に挟まれたのが全て。これで馬がエキサイトし、岩田騎手に懸命になだめられたが前半力んでの追走だった分、終いもお釣りはなし。本来の競馬とは程遠い内容を初のオープン馬相手でやってしまっては厳しい。

マルカプレジオのセールスポイントは先行力と瞬間的な脚の速さ。２走前の雅Ｓ(ダ1900m)は前半無理なく先団で脚を溜め、４角を余裕たっぷりの手応えで回り、直線で馬群がバラけ仕掛けられると一気に抜け出しを図り、外から迫ったトウショウクラウンを叩き合いの末に撃破。派手さはないがお手本通りのソツのないレースはお見事。

勝ちタイム「１分58秒3」は同開催で稍重だったアルデバランＳ「1分57秒8」と遜色ない記録で３着以下が３馬身は離れたのも頷ける。４走前の花園Ｓは不良馬場で完全な前残りを追い込んで４着、初夢Ｓはスムーズに好位から競馬し、４角も馬なりだったがまったく伸びなかった点を考えるとデキが悪かったか、上位を一桁番が占めたようにずっと外を回らされた影響も出たかもしれない。

現状少しでもロスがあると心許ないのは認めるが自分のレースに徹っせれば粘り強く走れる。ダート４勝中３勝が時計差なしのように混戦向きだから強い相手とやる方が闘争心も湧く。京都は過去【2-0-0-2】芝でトーセンレーヴとクビ差２着やクレスコグランドを破っている実績からも瞬発力が発揮しやすい軽い京都の馬場は合う。

ゴールドアリュール×トニービン×Lyphard系の配合で前受け好走はお約束。芝ダ短中距離問わず通算４勝の母母レディタイクーンはハーツクライの母アイリッシュダンスの半妹にあたる血統。アイリッシュダンスのひとつ下のスピードアイリス(父ミスターシービー)はアンタレスＳ２着。四位騎手ほどではないが福永騎手もこのコースは【7-1-3-24】20.0-22.9-31.4、複勝回収率106％で得意としている。

58.5Kgを背負ったブリリアントＳで見せ場を作って０秒４差４着に善戦した○ナムラタイタンは東京大賞典４着、東海Ｓ２着からも８歳でＧ１を勝った父サウスヴィグラスと同じような成長過程を踏んでいる可能性大。ゲートで躓き、後方になったジャパンカップダートでも７着だったから56Kgの今回はＶ機十分。

単騎が良かったとはいえ骨折明けだった前走で差のない３着に残ったトウショウフリークも調教抜群で重賞でも要警戒が必要。この条件だった昨年の東海Ｓを勝利しているソリタリーキングも近走迫力には欠けるが地力上位。トミケンアルドール、アントニオピサも楽しみな素材だがこの枠だと実績なりの評価に留まる。