パラダイスＳ

阪神５Ｒの新馬戦(芝1800m)に早くもＰＯＧで指名した馬がデビューを予定している。しかも２頭だ。先日の藤沢和雄厩舎の話ではないが余程の天運に与らないかぎり、勝ち馬は１頭である。そして筆者がそういう星回りの下にないことは重々承知している。だからそう責めないで欲しい。

ただ個人的には吉兆でもある。何を隠そうとも今年のダービー馬キズナが同じように昨秋の新馬戦でリジェネレーション(父アグネスタキオン母エアトゥーレ)との２頭出しだった。単勝ほぼ横並びの下馬評通り、ワンツーを飾ったのは記憶に新しい。

牡馬の３位指名ヴァンクウィッシュは半兄がラジオＮＩＫＫＥＩ杯を勝ったサブジェクト(父フジキセキ)母アランセラは短距離で６戦４勝２着１回の成績で故障がなければ重賞に手が届いていたかもしれない素質馬だった。

サクラバクシンオー産駒のカヴァリエはダイレクトにスピードを反映させたし本質的にはスピード血統かもしれない。ただダンスインザダーク産駒のゼローソを見ると母父Dixieland Bandの鼓動も感じる。来春が楽しみになるような1600?2400mの万能型に育ってほしい。

レッドラヴィータはレッドデイヴィス(父アグネスタキオン)の半妹で、菊花賞馬デルタブルースの姪にあたる良血。母父トニービン、母母父にはまたしてもDixieland Band。更に凱旋門賞連覇を達成しているAlleged。種牡馬としての地位が危うくなっているスペシャルウィークの底力が引き出されるとすればこういう重厚な配合だろう。

牝馬がこの時期に1800mを選ぶ意義は大きい。思い出すのは６年前の同じ阪神1800m。優勝馬アーネストリーを筆頭に皐月賞馬キャプテントゥーレ、シンザン記念を勝ったドリームシグナルなど相手の揃った一戦で牝馬ながら２着に食い込んだトールポピーは２歳女王とオークス馬に輝いた。綺麗な尾花栗毛が大舞台で活躍する姿が待ち遠しい。

ヴィクトリアマイル６着のハナズゴール、京王杯ＳＣ４着のレオアクティブの一騎打ちムードになっているが両方地雷の匂い。ハナズゴールは直線で馬群を捌けず脚を余した感じだったがそもそも評価自体が過剰。仕上がりきったＧ１直後の格下戦は危険な臨戦でもある。

レオアクティブの京王杯ＳＣは前半3F33秒9-4F45秒7で上がり3F11秒4-11秒4-12秒1＝1分20秒6の決着。過去10年で２番目に速い前半3Fが稍重で刻まれているだから前崩れになったのは必然で逃げていたトウケイヘイロー、２番手だったパドトロワが次走で巻き返して重賞を勝ったのも偶然ではない。

一方で勝ち馬ダイワマッジョーレを含め、後方待機勢は展開の利が大きかっただけに着順を鵜呑みにはできない。レオアクティブもこのメンバーなら脚力上位で1400mは最も得意だが前走の内容からすれば３番手から０秒６差１２着だったレッドスパーダになる。ただ旬を過ぎた58キロの７歳馬を本命するだけの材料はない。

空気も同然となっているインプレスウィナーが低評価を覆す。東京1400mは４勝でオープン特別１勝＋京王杯ＳＣ３着。他のコースや同じ東京でもマイルはまるで走れないがこの条件だけは別馬。オーロＣは互角のスタートから道中はインで脚を温存し、直線は間を割って上がり3F33秒0の末脚。全くロスのない完勝だった。

器用な一面は見せているが本来は平均ペースの持続力勝負型で外でエンジンを吹かしながら進めた方がいいから今回の大外枠は悪くない。土曜のように乾き始めで内有利の馬場だと苦しいが全体的に乾けば差しは決まる。前走の京王杯ＳＣは位置取り後ろながら１０着だが仕上がり途上で０秒５差は上々。馬也主体の厩舎が直前一杯に追ってきたし目イチの勝負とみた。