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2013/06/23 13:00
宝塚記念
最初から成功だったと言えるようなことはどのような分野においても一握りだろう。大抵は失敗や挫折を経験する。成功の裏には苦しみや悔しさをバネに立ち上がり、奮い立たせるような契機がある。
未明にあったサッカーのコンフェデ杯。日本はメキシコに敗れ、勝ち点ゼロでプレステージを去るがサッカー先進国である強豪と互角に渡り合うことなど20年前に誰が想像したのか?日本サッカーの躍進を支えているのは間違いなくドーハの悲劇だ。
富士山の世界遺産登録が認められた。日本の象徴として高く評価されながら、ゴミ問題や火山としての独自性がないなどの理由で世界自然遺産の候補から脱落してから10年での逆転登録である。世界遺産にふさわしい山となるには課題も多いがこれも日々の努力を怠らず、尽力してきた人々の思いがあってこそ。
どん底からのやり直しはそもそも日本という国自体に当てはまる。江戸時代に鎖国を終えて、世界に目を向けたかと思えば、欧米列強を敵に回して、井の中の蛙を演じ、ボロボロになって散る。そこから両脚をついて持ち前の勤勉さを生かして前進し、成長し、発展し、今日がある。
昨年のジャパンカップ後は喪失感しかなかった。到底受け入れられる結果ではなかったが歴然としていた上位との差は甘んじて認めざるを得なかった。レースはインの5番手に収まり、折り合いもつき、優等生然とした最高の形で進めたが勝負所で修羅場をくぐってきた馬との狡猾さ、ギャンブル力の優劣がでた。
ダービーで味わった苦杯を二度までも…。それでも敗戦を糧に立ち直り、己に磨きをかける時間が十分だったのが救い。明け4歳の日経賞を早め先頭の貫禄で勝利すると淀へ勇躍と進撃。そしてこちらの目論み通り、これしかないという競馬で一強だった芦毛の馬を見事退けた。
願ってやまなかったG1タイトルを手にしたのは当然喜ばしいがそれ以上にフェノーメノ自身がひとつの殻を破ったことが一番大きい。中盤まで伏兵の大逃げが続いたとはいえ、1000m59秒4-2000m1分59秒7(60秒3)-3000m3分1秒6(61秒9)道中の最遅ラップが12秒9(逃げ馬が失速したあたり)で2F?7F目まで断続的に11秒台の締まった流れ。
例によって行き脚のつかないゴールドシップを尻目にフェノーメノはちょうど中団を追走。ライバルが3角頂上の残り800m標識手前で進出を開始し、レースが動く。まさに想定した展開だったが、やはりほとんどの馬にとってはまだ我慢したい場面。それでも余力を失った先行馬との差は詰まり、外からはゴールドシップにトーセンラーが迫る。
この痺れる局面で自らがラストスパートの中心にでた。これこそ昨秋にはなかった、いや正確には自信が持てなかった完成への「最後のピース」足りなかった部分を地道な鍛錬と勝つことによって見事に埋めてみせた。実績のないコースと距離でこれだけの豪胆さを発揮できればもう本物。
ターニングポイントとなったジャパンカップで全く相手にされなかった2頭との再戦こそが真価を問うに申し分なかっただけにオルフェーヴルの回避は非常に残念。あの馬の一瞬の反応、強烈な捲りは他では再現できない。ジェンティルドンナにも完敗しているが少なくとも阪神2200mで負ける気は微塵もない。
4冠のジェンティルドンナも性能は当然高いがディープインパクトや牝馬特有の切れ味で勝負してきた馬。これまで持久力を要求される4Fスパートや泥臭い消耗戦の経験がないのは致命的。牝馬限定の秋華賞は直線一本で届いたが途中もたついていたし、おそらく最も苦手とするレースになる。
敵はゴールドシップ。天皇賞(春)はバイアスの関係で苦戦することは目に見えていたからケチはつかない。内回りでのスタミナ合戦になれば無双級の存在。歴代でも屈指の総合力がある。ジェンティルドンナが崩れる前提で上位評価と同じステイゴールド産駒のナカヤマナイト、ディープ産駒でも切れ味勝負ではないダノンバラードは状態も良く特注。