バーデンバーデンＣ・ジュライＳ

梅雨明けが去年より２週間以上早かった分、地獄が始まるのもそれだけ早いわけで７月の中旬にしてこれだけ消耗すると９月の声を聞く頃には一体どうなっているのかと気が遠くなるような要らぬ心配までしてしまう。ダービー以降から欠いている予想の精度も益々落ちてきた。

もう単純に思考する。別に基準があるわけではないがこの猛暑の連続。ソロソロ「夏の牝馬」が発動してもいいはず。昨年の優勝馬ビウイッチアスを中心とする。その昨年は50キロという裸同然の犯罪的軽さ。あれで単勝5.2倍もつくのは今考えれば不思議すぎる。

その後に条件不適だったアイビスサマーダッシュ(10着)や大外枠から強引に勝負したキーンランドＣ(８着)でリズムが狂い、それが精神面にも影響を及ぼし、ゲート難などを誘発する悪循環で不振に陥った。陣営がなんとか立て直しを図り、復調の気配が見えたのが前走の函館スプリントＳだった。

久々に綺麗な好発でダッシュ良く飛び出すと好位の３番手を追走。逃げたフォーエバーマークが粘り、パドトロワにも蓋をされる感じで直線はスムーズに追えなかったが手応えは十分に残っていたし、この０秒２差はかなり上向いてきた証とみていい。２歳時から坂路で50秒を切ってきた馬が本来のスピードを取り戻しつつある。

今週も控えめながら4F５０秒3-1F12秒1の時計を記録。まだまだ良化する余地はあるが現状これだけ動けばオープン特別は勝負圏内。ダイワメジャー×Gulchの配合でダート色の強い粘着血統だから中山1200mがベストだが馬場が荒れてきて時計の掛かる今の福島も悪くない。53キロで女の意地をみたい。

ハノハノも素質面では見劣らない存在。船橋Ｓ「1分7秒4」はオーシャンＳ「1分8秒5」を大幅に上回る今年の中山開催NO.1タイムで直近１年でもロードカナロアのスプリンターズＳ「1分6秒7」ニシノステディーのセプテンバーＳ「1分6秒9」に次ぐ３位タイ。昨秋の中山が異常な高速馬場だった点を考慮すれば極めて優秀。トニービンの肌にノーザンテーストとPrincely Giftのクロス。祖母は懐かしのカッティングエッジ。期待の高まる血統だ。

ラインブラッドは8秒台決着専用のタイキシャトルの差し馬。意外にも1200mでの勝ち星が一番多い。馬力があるし渋馬場で台頭する。ケイアイアストンは11年中山開催の勝ち馬で12年も３着とこの時期のオープン特別は有望。今年に入っても急激な衰えは感じられないだけに伏兵警戒。

オーシャンＳ３着があるツルマルレオンはハーツクライ×Kingmambo×Silver Hawkで道悪は鬼。オープン特別では上位勢力だけに55キロは有利だが問題は中間に一頓挫あったこと。レオアクティブは約２年ぶりの1200m。1400mの追い込み馬として頭角を現しているだけにこの距離で57キロは危ない。

西のジュライＳもＪＲＡのダート重賞勝ち馬がヒラボクキング(12年平安Ｓ)のみで他は頭打ちの馬や休養明け、芝馬の参戦と夏らしいごった煮のオープン特別。近況一番はダイオライト記念を逃げ切っているオースミイチバンだがこの血統は妙にステイヤー気質が強いので1800mでも忙しい可能性が大。状態面もひと叩きが理想。

そのオースミイチバンも含め、アイファーソングやヒラボクキング、マイネルオベリスクなど前に行きたい馬が揃った。先行争い激化からのゴール前大勢ガラリとみてシセイオウジ本命。短距離での良績という点を除けばこのメンバーで最も安定しているのは同馬。

前半に置かれて、直線追い込んでは届かないレースの繰り返しだが近５走中４走で上がり最速をマークしているようにとにかく切れ味は素晴らしい。ナリタブライアン、ビワハヤヒデの近親で今年のダービー馬キズナの母キャットクイルは叔母にあたる。距離延長を嫌う理由は何ひとつない。

オープン特別で２着５回があり、中京も６戦２勝２着２回と堅実なスタッドジェルランとのキングカメハメハ丼が大本線。調教気配が冴えないのは毎度のタガノロックオンも55キロはチャンス。連穴は重賞ウイナーの底力でヒラボクキング。爪の不安が解消されて追い切りはいい動きだった。夏のデヒアが母父のアイファーソングの残り目、時計短縮が課題もこのコースでやけに回収率が高いアグネスタキオン産駒のスズカセクレターボも少々。