コスモス賞

早期完成で有名なラフィアンの現３歳世代は全体的にはやや低調に終わった印象だが何と言ってもマイネルホウオウ(ＮＨＫマイルカップ)という大当たりを引いた。スズカフェニックス×フレンチデピュティで長らく目立った活躍馬のいなかった枯れ井戸から３歳Ｇ１ウイナーが発掘されるとは誰が想像しただろうか。

レースを使う毎に逞しさが増し、強くなったのはトレセンでの地道な鍛錬と牧場時代の厳しい育成による貯金の賜物である。マイネル軍団の場合、早期デビューは過酷な調教に耐えた言わば先人を切る精鋭。前述のマイネルホウオウを筆頭にマイネルエテルネル、マイネルクロップ、マイネルブルズアイら賞金上位馬はいずれも夏に初陣を迎え勝利を収めていた。

昨年の同時期に比べ２頭増の８頭が勝ち上がっている今年も目が離せない。コスモス賞は２頭出し。両方とも新馬の勝ち方から人気になるだろうがお互い勝ち負けを意識できる存在。なかでも福島で５馬身の圧勝を飾ったマイネグレヴィル。

前半5F64秒9の超スローを２番手で押し切った形は至って平凡だがラスト4Fは11.9-11.8-11.8-12.0。全馬に余力が残っている状態で３角過ぎから後続が激しく手を動かす中、楽々流れに乗って４角も馬也で直線スパートを決めた。他馬より仕上がりが一歩上だったのは間違いないがやはりこの勝負服特有のまとまりは見逃せない。

父がブライアンズタイムで母父は絶好調のスペシャルウィーク。母マイネポリーヌとキャンペンガールはマルゼンスキー≒Nijinsky≒ヒンドスタンの綺麗な相似配合。マルゼンスキーの3×2がきつすぎて結果は伴っていないがオカノブルー、レディーシラオキともに名門の底力を秘めている。

オカノブルーの牝系はマイネルデュプレ(共同通信杯)マイネルブラウ(小倉大賞典)マイネミモーゼ(フローラＳ２着)などマイネル軍団にとって縁が深い。

ブラックタイドは初年度からダービー６着のテイエムイナズマ(デイリー杯２歳ステークス)を送るなど順調な滑り出し。ディープインパクトとは全兄弟だが繁殖の質もあってややパワー型の産駒が多いのが特徴的。※8/4終了時点で芝１１勝、ダ８勝。

マイネルフロストはRoberto系のグラスワンダーにDanzigの4×4だから典型的な母系のパワーがONになった配合。東京での新馬はウインマーレライの粗削りにも助けられて快勝したが本来は力任せに捲るような競馬の方が持ち味を発揮できる。将来性には乏しいが今回は好戦できる。

ディープインパクトは肌馬に素直な種牡馬でミスプロ系やDanzig系を持ってくるとマイラー的なスピードを伝えやすい。サトノフェラーリ(母父デインヒル)は今年のオークス２着エバーブロッサムやディープサウンド、ラスヴェンチュラスと同配合で悪くないがどうもワンパンチ不足する。馬力型だから重い馬場もこなすが秋以降は強調できない。

リターンラルクは新馬戦を８馬身差で圧勝し、ほんの瞬間的だがクラシックの有力馬となったオーシャンエイプスの半弟で叔父にセントウルＳを連覇したゴールデンキャストがいる血統。Nijinsky、ナスキロ、Ribotの4×4が並ぶ母系は魅力満点。後方一気だった新馬からも素質は十分感じられるがこの段階でこのコースを走らせるメリットがない。出世のカギは厩舎力。

メイショウオウドウは産経大阪杯など重賞２勝で安田記念、マイルＣＳでも３着に食い込んだ馬。数少ない産駒からメイショウシャフトやベイリングボーイらオープン好走馬もいて伊達にＳＳ系ではない。デンコウウノはデビューから３戦1200mだが全兄デンコウジュピターは1400?1800mで勝ち鞍があり距離延長を嫌う理由はない。

ダンツキャノンは叔母にベストクルーズで祖母チヨダマサコだからホエールキャプチャやダイワテキサスと同牝系。新馬勝ちは阪神1400mだがタニノギムレット×ピルサドスキー×Graustark4×5で中距離向き。仕上がりも上々で谷厩舎も２頭出しだから勝負気配。あとは馬場適性。

函館２歳ステークスで唯一大外から上がり最速の末脚で５着し注目のハッピースプリント(父アッミラーレ)はスキャターザゴールドやSmart Strikeという世界的良血の出身だがそれゆえに芝がプラスに働く事はない。