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2013/08/24 10:00
エルムS
マリーンSの圧勝を振り返ればブライトラインが砂の新星という肩書を手中に収める可能性は非常に高い。京葉S3着、麦秋S1着と適性を示しつつダートに働き場を求めて3戦目。スタートを互角に決め、外枠からスッと先団に取り付き、序盤はオーシャンフリートの2番手を追走。
向正面で悠々と並走に持ち込み、3角過ぎにスピードの違いで先頭を奪うともう独壇場。後続の戦意が喪失するような、まさに反撃の芽を一気に摘むほどの手応えの差。裏開催のオープン特別で注目度は低かったかもしれないが衝撃度は相当。伊達に芝の重賞で着を拾っていた馬ではない。
芝を走っていた今年の冬まではゲート難と掛かり癖が専らの課題で折り合いに重きを置くあまり、結果的に位置取りを悪くして直線で速い上がりを使っても不発というストレスの溜るレースを繰り返す悪循環だったが近走はスタートも安定し、掛かるわけでもなく抑えの利いた先行力を発揮。新天地が精神的にも大きな影響を与えている。
フジキセキはキンシャサノキセキやドリームパスポート、エイジアンウインズなど条件不問で活躍馬を出すなど優れた汎用性を持つ種牡馬。その柔軟な遺伝力は芝のみならずカネヒキリやミラクルレジェンドに代表されるダートにまで及ぶ。通算の勝ち鞍は芝713勝、ダ645勝で今年に限れば現時点でダートの勝ち鞍がやや上回っている。
フジキセキ=やや非力なスピード馬のイメージからどうしても馬力全開のダート馬は想像しにくいし、現に上級馬はほとんど芝馬なのだがダートに対応できるだけのパワーを補える供給源さえあれば実現性は飛躍的に上がる。
ブライトラインの母父キングオブキングスは欧州の大種牡馬サドラーズウェルズを父に持っていたがデビュー戦は2歳5月の6F戦。しかも8馬身差の圧勝だった。数戦挟んでG1初挑戦となった愛ナショナルS(8F)を制し、翌年の英2000ギニーも勝った。重厚なサドラーズウェルズのイメージ一新に一役買ったといって過言ではない。
このキングオブキングスの祖母にあたるAmpullaがスティールハートの半妹。スティールハートの最高傑作が名マイラー・ニホンピロウイナーだ。母の半姉サーガノヴェルというスピードの元値にこの血統をつけたのがブライトラインの爆発力。
そしてここにきて、母系に回ったサドラーの血がパワーとして発現し、Thunder MaidのNasrullah4×4+Bull Lea5×5×5的な馬力を伝え、母母父であるAlydarのお目覚めも促す格好となった。Alydarが入ることでイシノサンデーやサンライズペガサスのように捲り脚質になっているから札幌1700mは条件適合。G3とはいえ自慢の快速一本で本州へのご帰還は秒読み。今夏一番の堅軸だ。
グランドシチーはキングカメハメハ×ブライアンズタイムでハタノヴァンクールと同じ配合。ミスプロとロベルトが組み合わさると小回り向きのパワーがONになるからコース自体は合っているし、叩き3戦目で状態上昇。実績的にも順当だが道悪で先行有利に拍車が掛かるのは痛恨で3番手まで。
これならブレイク寸前のツクバコガネオーを対抗に抜擢してみたい。母シンディは平凡な成績だったが祖母Dance Designは愛オークス馬でサドラーズウェルズとHabitatの配合はブライトラインと一緒。どちらかと言うとナスキロの柔らかさで走るので函館<東京だからスピード馬場になりそうなのは大歓迎。力をつけているし狙いたい。
サイレントメロディはシンボリクリスエスにスティンガーなどを輩出したスピード豊富な母系だから成功配合。軽い馬場は滅法得意だし一変の妙味はある。ダノンゴールドもAlydarでBull Lea的なパワーを引き出している馬だがブライトラインに比べるとスピードの裏付けが薄いので時計は掛かった方がベター。いきなりの重賞挑戦でもあるし様子が妥当。
フリートストリートはHalo5×4があるから安達太良Sのように小回りでの脚捌きも悪くないが本質的には大箱向き。セイリオスの叔母は重賞4勝のダイヤモンドビコーでサンデーにAlydarを混ぜて捲り脚質が強くなった馬の一頭。当然適性的に大きく外れている事もないので連穴には注意だ。