キーンランドＣ・小倉日経オープン

先週、雨中でおこなわれた札幌記念(重)を２着に６馬身差をつける楽勝で制したトウケイヘイローの勝ちタイムが「2分06秒5」札幌記念が90年に芝の重賞として施行されるようになって以来ワーストだ(※それ以前は96年マーベラスサンデーの2分01秒6)

同日、500万クラスの９Ｒ定山渓特別も重。勝ったネコタイショウの勝ちタイムは「2分06秒9」後続を２秒３もぶっちぎった。仮に札幌記念を走っていれば楽々２着入線だ。別にネコタイショウを強いと持ち上げる訳じゃないし、札幌記念組を貶めるわけでもない。大事なのはそれほど馬場適性の差に左右されるという話だ。

例年と違い、函館の連続開催終盤だから多少の誤差は生じてしかるべきだと思うが“異質”を通り越して“異常”を訴えているのが現状の函館だ。

参考にすべき同条件の函館スプリントＳは「1分08秒5」全くアテにならないと考えたい。２週前のＵＨＢ賞が「1分10秒4」あれからもっと消耗しているとすれば重賞でも10秒台を切るのは難しいと推測できる。劇的に時計を要するようであれば伏兵の蹴手繰りが有力馬を脅かす。

◎マスイデアは前走でようやく1000万を勝ったその他大勢の格下に過ぎないがストレイトガール、ファインチョイスに次ぐ函館芝３勝の実績があるように「洋芝の奇術師」の寵愛を受ける資格を満たしている。ＨＴＢ賞で０秒３差(３着)だったファインチョイスを物差しにすれば壮大な大仕掛けも夢ではない気がする。

美利河特別で負かしたブランダムール、ショウナンマハが次走で勝ち上がっているのもいい。準オープンの連対記録さえない馬だが1200mの持ち時計「1分08秒4」では時計の速い決着が多い中央では苦戦するのも無理はない。ただ前述の通り洋芝と荒れた馬場には滅法強いのが最大の強み。

昨年3/10の中山は当日のメインだったアネモネＳが「1分39秒6」アドマイヤラクティが勝った2000m(1000万)で「2分08秒9」という極悪馬場。そんなコンディションだった1200m戦を楽な手応えで中団追走し、直線では脚が上がる他馬を尻目にグイグイと加速し差し切る芸当。全体の上が3F38秒0という消耗戦を難なく乗り切った。ちなみにこれが中央４場で唯一の勝ち星だ。

父リンカーンは天皇賞(春)２着や有馬記念２着でＧ１にこそ手は届かなかったが豊富なスタミナを武器に中長距離重賞を３勝したサンデーサイレンスの良血馬。祖母リンデンリリーはエリザベス女王杯勝ち馬だから持久力勝負で真価を発揮するのは頷ける。

軽いスピードよりタフな差し脚が活きる今の馬場ならこの特性が最大限生かせる。中間に時計を出したのは追い切りの一本だけだが元々本数はいらない馬だし何よりＷコースで一杯に追って【5F66.1-4F51.1-3F37.8-1F12.9】と仕上げてきた点に好感が持てる。とはいえ斤量面で恩恵があるわけでもなく厳しい戦いは免れないがそれは覚悟の上で激走に賭けたい。

ファインチョイスのＵＨＢ賞は内からストレイトガールに掬われる形の２着だったが今回はこちらの方が内枠だし逆転で有終の美も。同コース５連勝での重賞Ｖが懸かるストレイトガール、パワーのあるパドトロワも上位に肉薄する。

小倉は大雨で朝の時点で不良。ただ函館と違ってまだ馬場が良いだけに極端に時計を要する状態ではない。今週からＢコース替わりでもあり素直に内枠の先行馬サワノパンサーを採用。９か月半ぶりの米子Ｓで２年連続２着すると前走の福島テレビオープンでは好位から粘って1800mで初の連対を果たすなど７歳にして充実著しい。

母父はGrey Sovereign系のトニービンで小倉向き。Nijinsky4×4だから力の要る馬場も十分こなすはずだ。タムロスカイ、ミキノバンジョーがやり合う事を考えればこちらの期待を裏切り続けているセイクリッドセブンの浮上余地がある。相手大幅弱化の今回印を下げざるを得ないのは情けないがこれを本線としたい。

休み明け苦手のスピリタスが福島テレビオープンで３着したのはちょっと怪しい。反動は頭に入れておくべき。これならマヤノトップガンらしい高齢でも渋い活躍を見せるタガノエルシコの末脚。小倉大賞典４着のマルカボルトは叩き良化型で割り引き対象。