エニフＳ

2020年の五輪が首都・東京で開催される。世界各地ほとんどの人がテレビの前でしか味わうこと出来ない現場の臨場感を肌で感じられる絶好の機会だ。国を挙げての一大イベントだから招致活動に携わり、尽力した人間の数も手間も半端ではない。もちろん費やした約149億もの資金も膨大だ。それらと引き換えに得た招致活動の成功だけに喜びは大きいだろう。

ただ個人的な感想を述べれば今回五輪が東京で開催されることに何の感情も湧かない。「実感がない」と言えば多少可愛げがあるかもしれないが興味を持てない、もっと正直言うと、どうでもいいのだ。最終候補がいつ発表されたのか不明だがニュース、新聞で候補都市を見た時にマドリードだと思ったくらいなもので最初から無意識に東京が選考されるとは露ほども思わなかった。

そして実際、他の候補都市に決まった時のような起伏なき穏やかな心理状態。感動もない。先週の時点で最終決定が近いことは分かっていたが具体的な日時は知らない。だから日曜の早朝にテレビも見ていない。そしてその日の予想コラムでも完全スルー。醒めた心境を察していただけるだろう。

ただ自国での五輪開催を喜んでいないとはいえ、別に反対している訳でもない。そこは招致反対家の皆さんとは異なる。まあしかし、冷静に考えると継ぎ接ぎだらけの落とし蓋でよく問題を封じ込んだなという印象だ。ＩＯＣを丸めこんだ。

いやそんな必要はなかったのかもしれない。マドリード(スペイン)は長年に渡る経済状況の悪化、イスタンブール(トルコ)はインフラや交通網の整備が未発達、反政府によるデモの激化など都市としての途上さを指摘されていた。つまり消去法で東京だ。こうなると招致活動自体の意義がどうだったのか問われる。

成熟した都市「東京」でおこなわれる五輪などとメディアでは踊っている。他国に比べて格段にリスクは少ない。高い運営能力も評価されている。国の中枢として東京は五輪を仕切る場所に相応しいかもしれないが、ただしそれを支える母体はどうなのだ。日本という国だ。この部分が無視されるはずがない。

約三兆円の経済効果が見込める五輪関連の事業に4500億が投入されるとの見解だが日本の国債は2011年度末の時点で1000兆円を越えている。１年の税収で得られる金額は約41兆円、それに対して国家運営に必要とされる金額は95兆円・・・はっ？？である。

この状況で五輪開催しようという神経がおかしい。麻痺している。闇金で借金を抱えまくっていながら、他人に奢りまくっているようなものだ。千歩譲ってこのお金の流れを容認するならばもっと真剣に取り組むべきは原発問題、被災地復興。これが最優先だ。

福島第一原発の汚染水漏れについて首相は「私が保証する。状況はコントロールされている。」「完全にブロックされている。」これには呆れた。確かに目的を達するためのプレゼンの場で後ろ向きの演説は受けないがこれはない。１年先も危うい政治家の保証が何になるのか？建設的な意見の一つも出せず、現実逃避のファンタジーな世界に逃げ込んだコイツは問題に向き合ってすらいない。

もし次に原発地帯で大きな地震が起きたら国家ごと危険なのだ。そこで客人を招いてパーティーをおっぱじめようとしている。抜本的な対策や解決の道を選ばず地震いう自然に身を委ねた一種の賭けにでた。７年後にこの立場に在任していることはないから、いくらでもその場凌ぎの無責任発言ができる。本当にブロックされたのは国民の声だ。

震災復興の一環なんてものは後付け。未だに避難生活を送っていて今回の招致成功を心底喜べる人などほんの一握りだろう。単なる自己満足に過ぎない。煤けた日本という国を再び煌びやかに飾りたい一心なのだ。

「欧米への憧れと劣等感を抱く敗戦国の日本が誇りを取り戻すためのイベント」だった1964年の東京五輪のような展望ある動機はない。49年前、日本は五輪を境に飛躍的な成長を遂げ、急速に発展した。当時のように世界に並べる大国として力を示す必要はない。この７年間で地に足をつけてもう一度歩き出すことができた時、初めて今回の招致が成功だったと言えるのではないだろうか。


◎アドバンスウェイ
→春にこの舞台でオープン特別勝ちを収めている○エアウルフ▲アドマイヤサガスは強敵だが本馬もすばるＳでアドマイヤロイヤルに完勝するなどこのクラスなら能力上位。得意の内枠、距離延長、手の内に入れている小牧騎手、そしてブリンカー装着と条件は揃った。