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2013/09/17 00:00
カンナS
雲に霞む月が迫る台風の接近を告げ、不気味な静けさが漂っていた日曜の夜。遠く離れた欧州フランスでは来たる最高峰での決戦に向けた戦いで日本馬が歴史的旋風を巻き起こしていた。ニエル賞で先陣を切った第80代日本ダービー馬キズナの興奮冷めやらぬ中、約1時間半後にスタートしたフォア賞のオルフェーヴルも下馬評に応えた。
仕上がり途上と伝えられていたキズナは日本と同様に道中は後方で脚を溜める作戦。メンバー揃ったとされる強豪を射程に入れながら進み、直線は持ったままの手応えで外から先行集団に並びかける。直線半ばでパリ大賞典を制したフリントシャーを競り落とすと今度は馬群を縫って伸びたルーラーオブザワールドと日英ダービー馬による激しい叩き合い。最後は短頭差で凌いだキズナに軍配が上がった。
対するオルフェーヴルは直前に昨年の英二冠馬キャメロットが馬場を嫌って出走を取り消し完全な一強ムード。レースは互角のスタートから内ラチを頼りながら好位の3番手で折り合い、直線は逃げたステラウインドを早々に交し後続を完封。余力を十分に残す貫禄勝ちで昨年の凱旋門賞2着の実力をまざまざと見せつける格好となった。
あくまで本番は次だがとにかく異国の地での遠征緒戦で勝利を手にした事は大きい。とくに馬場適性や世界レベルを初めて肌で感じるキズナにとっては何よりも得がたい自信に繋がる。ブックメーカーが早速オッズを修正したように日本馬への期待は高まる一方だが当然それだけプレッシャーはかかってくるし、他の有力馬も黙ってはいない。
日本のトライアルとは違って、海外のそれは全く別物でまさに“ステップ”という段階に過ぎず仕上げはかなり手を抜かれているケースが多い。オルフェーヴルもキズナも今回が完璧な状態だったわけではないが他馬はそれ以上に上昇してくる。とくに99年モンジュー、06年レイルリンク、12年ソレミアと日本馬の夢を打ち砕いてきた地元フランス勢が自国の大レースを守るため土壇場で発揮する底力は脅威となる。
それでも日本競馬の悲願成就を予感させるに十分な前哨戦だったことは疑いようがない。残された時間は決して多くはないがこの準備期間で万全を尽くすだろう。我々は一挙手一投足に注目しながら10月6日の吉報を楽しみに待ちたい。
-カンナS-
昨年の1着ヴァンフレーシュ、2着シーブリーズライフ、3着ナカナカはいずれも前走新潟1400mの距離短縮馬。11年も前走新潟1400m組のビウイッチアス、ブランダムールでワンツー、3着トウケイヘイローも新潟2歳ステークスからの短縮。それ以前も08年3着アラマサローズ、09年2着ダイワナイト、10年マルタカシクレノンと毎年一頭は馬券に絡んでいる。
急坂がある中山1200mの前傾ラップをこなすには1400mを走れるくらいのスタミナは不可欠なのだろう。例年より少し時計が掛かっているし今年もこの傾向は継続するとみて本命はアポロスターズ。福島1200mでデビュー勝ち。2戦目のダリア賞は直線で内から外に切り替える大幅なロス、立て直してから鋭く伸びているだけに0秒1差(4着)は惜しかった。
新潟2歳ステークス(10着)は好スタートからスムーズに3番手を追走したが直線は見せ場もなくあっさり馬群に沈んだあたり距離が長かった。ただカンナSを勝ち負けするには理想的なローテ。この距離なら2走前の末脚が戻るはず。アポロキングダム産駒は芝全7勝中3勝を中山1200mで挙げていて、しかも3戦3勝の負け知らず。適性が高いコースであることは言うまでもない。
相手は前走ダリア賞(8着)のテルミドール。気分良く行き過ぎた分、後方の餌食になったが函館2歳ステークス(9着)でもハナを切っているように速力はここでも通用。全兄マイネルアダマスは14日の古作特別を好時計勝ちしていたしマヤノトップガン×ジェイドロバリーの母からしてもパワーが必要なこの舞台は向く。
ヴォラータはDanzig4×3で先行し父のアグネスデジタルで最後ひと踏ん張りのイメージ。すずらん賞(7着)は馬場にスピードを殺されたのが全て。2走前の圧勝を見直す手。デサフィナードは穴になりやすい直千組。Graustark4×5、His Majesty4×5を内包しており一発注意。キンシノキセキは配合的にいかにもだがフジキセキ産駒がこのコース【3-5-3-45】単回収率18%、複回収率33%と出走数の割に不振。人気だし積極的に買う要素はない。