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2013/10/20 08:00
菊花賞
菊花賞は過去10年いずれもAコースの良馬場で施行されている。ただし、勝ちタイムが最速だった06年「3分02秒7」?最遅の10年「3分06秒1」まで実に3秒4もの差がある。年によって決着時計が大きく異なる、時として覗かせる顔が全く違うのが3歳牡馬クラシックの最終戦だ。
勝ちタイムの詳細は3分02秒台《3回》※以下3分省略、03秒台《1回》04秒台《2回》05秒台《3回》06秒台《1回》
これだけ時計にばらつきがあるのはビッグレースに限らず、非常に珍しい。ではレース中のどの部分が流れを左右しているのか。
前半1000m通過が最速だったのは06年で「58秒7」最遅は05年「61秒2」この地点で最大2秒5差もつく。しかし速い年はともかく遅い年でもこのペースを作っている逃げ馬は[0-0-1-11]と一度も連対を果たしていない。つまりスタートから正面スタンド前までがレースの行方を握っているわけではない。
今度は後半の1000mに目をうつすと、これは最速が05年の「60秒0」最遅が04年「61秒6」ここの差は1秒6。しかも04年を除けば60秒0?60秒8に収束しているように勝ち負けがはっきりする上がりの部分も勝ちタイムにはほとんど影響を及ぼしていないということになる。
こうなると問題はゴール板から2周目3コーナーまでの中盤1000mにある。この間の最速は12年「61秒2」最遅が08年「66秒7」最大差は5秒5にも膨れ上がる。61秒台《1回》62秒台《1回》63秒台《6回》64秒台《1回》66秒台《1回》となる。
スタートからの2000m通過は2分02秒台《3回》03秒台《1回》04秒台《4回》05秒台《2回》で最速が12年の「2分02秒1」最遅が08年「2分05秒5」ここでの最大差がちょうど勝ちタイムの最大差と同じ3秒4差になる。つまり菊花賞における真のレース支配は中盤1000mの攻防にかかっている。
距離不安には「根本的なスタミナ不足」と「気性の問題」がある。結果的に負ける時は両方消耗によるガス欠だがこの中盤1000mにおける互いの持つ意味は正反対。前者の場合はとにかくゆったりとしたペース、無駄のないコース取りなど物理的なロスを防ぐことに重点が置かれる。リンカーンやアドマイヤジャパン、アルナスライン、セイウンワンダー、トーセンラー、ローズキングダムがこのパターンでこちらは中盤にスタミナを温存して後半勝負。中盤の1000mを消して、実質2000mのレースをして克服した。
むしろ近年の傾向からすると難しいのはやはり後者の内面的な課題を抱える馬たち。リーチザクラウンやアンライバルド、スマイルジャック、ドリームジャーニー、コスモバルクあたりは人気を背負っていても極端な競馬をせざるを得なかった。これに今回該当するのがエピファネイア。神戸新聞杯は強い内容だったがあくまで別カテゴリーとして扱いたい。この距離でも同じようにレースを支配できるとは到底思えない。それは折り合いに泣いた上記の馬たちが証明してきた負の系譜でもある。
散々幻惑し混乱の渦に陥れてくれたビートブラックも自分の縄張りだけは守っていたように淀の長丁場は絶対能力<コースを走る才能なのだ。そしてその資質は中距離戦では発揮されない。
この舞台にこそ◎ヤマイチパートナーの探し求めていたものがある。デビューは2歳11月と遅くはなかったが3歳3月まで5戦5敗で掲示板1回。ヒシミラクルやデルタブルースを彷彿とさせる。ステイヤーはこれでいい。自分に合う距離が増えてくる春以降にグンと良くなるのが痛快。ヤマイチパートナーも4月以降は3勝2着2回と軌道に乗った。
菊花賞を意識させたのは支笏湖特別。とにかく馬場が悪くて手応えの悪い馬が目立ったが2周目の3角過ぎから涼しい顔で先団に進出し直線逃げたテイエムダイパワーを叩き合いの末クビ差退けた。斬れる脚はないが持続力あるバテない末脚と豊富なスタミナはこの京都3000mを走るために生まれてきたようなもの。
菊花賞で地味なSS系が日の目を見るのも偶然ではないはず。ヤマニンセラフィム、ミスキャスト、トーセンダンスはどれも現代のスピード競馬に虐げられてきた馬たち。父サムライハートは種牡馬としては無名だが日本が誇る屈指の良血。ひと昔前の人気種牡馬がズラリ血統表を占める。母系も古来から根付いてきた名門シラオキ。これにリアルシャダイ、シーホークだから長距離適性はまず間違いない。淀の道で乾坤一擲のロングスパートに託してみたい。