スワンＳ

今週は台風２７号の進路に惑わされ続けたが、最新の予報だと当初よりかなり東に逸れていく見込みとなっている。東京競馬場のある府中は土曜未明にかけて強い雨になりそうだが開催が危ぶまれるほどではないし、京都競馬場付近も競馬が始まる頃には天候回復が望めそうな情勢。この時期の気温に加え、風があればメインの頃に稍重発表はある。とはいえ、先週も雨中での競馬だったしＡコース４週目で痛みはある。斬れ味よりはパワーが優先される馬場という前提で予想を組み立てたい。

マイルＣＳを控える有力古馬やスプリンターズＳからの転戦組などＧ２らしくメンバーは揃っているが注目はここを飛躍のステップにしたい３歳コパノリチャード(父ダイワメジャー)ちょうど１年前の京都芝1400mの新馬でいきなり同週の秋明菊賞「1分22秒4」を上回る「1分21秒3」を逃げて叩き出し、後にファルコンＳ３着のエールブリーズを全く寄せ付けない完勝。１週前のスワンＳ「1分20秒5」とも比較しても遜色ない記録でデビュー時からスピード能力はずば抜けていた。

２戦目の千両賞は道中で他馬に絡まれて２着に敗れたが、白梅賞は再びエンジン全開で「1分33秒9」２着に５馬身差をつけての独走。同開催のシンザン記念が「1分34秒3」で京都金杯「1分33秒5」だから、これはもう同世代ではただ一頭次元が違った。アーリントンＣで重賞初制覇を果たすのも時間の問題だった。

春の計算が狂ったのはやはり色気を出して皐月賞を使ったことだろう。「何が何でもハナへ」という心意気は買うが2000mで[3F34.1-4F45.7-5F58.0]は拙劣だった。それでも適距離に戻るＮＨＫマイルカップでは逆にその非凡なスピードを存分に示した皐月賞の競馬と捉えられるむきもあった。実際、速い馬が集う中、外連味のない逃げで湧かせたが東京の長い直線で差し馬の餌食となってしまった。

ただ負けたとはいっても０秒４差(８着)であれば競馬の仕方ひとつで現状打破はできる。日本競馬史上最強の逃げ馬サイレンススズカだって３歳時は苦しんでいたのだ。復帰戦のポートアイランドＳは大惨敗に終わったコパノリチャードも進むべき道を決心するにタイミングが遅いことはない。脚をドタドタと叩きつけるような走法や血統的にも渋って力の要る馬場になるのは歓迎。斤量も５４キロ。コパノリチャードの将来像を展望すれば勝利に手が届いても全く驚かない。

ＮＨＫマイルカップ７着エーシントップとの行った行ったが本線。本馬も１番人気で先行するなどマークが厳しく最後は交されてしまったが大きく垂れてはいないし、地力の高さを見せた。連続好走する傾向のあるストームバードの系統なので気持ちの面で不安はあるが仕上がりは十分。今年の３歳世代は低調とされており、富士Ｓでもインパルスヒーロー、レッドアリオンが倒れているがシャイニープリンスやゴットフリートは古馬相手でもいい所があったし３歳マイラーの代表格登場で評価を覆す。

サダムパテックは昨秋のマイルＣＳ優勝以降奮わないが香港マイル以来だった京王杯ＳＣも０秒３差(７着)まで詰めているし、安田記念は大外枠で出遅れに加え、鞍上が敗因に挙げたように何より時計が速すぎた。母父にエリシオが入っているし生粋の短距離馬でもないから適度に上がりの掛かるレースが合っている。スムーズに捌ければ見せ場以上も。

かなり遠回りをしたがようやく常識にかかってきたラトルスネークの決め手は魅力的。速いペースでいつも通りに立ち遅れたのが功を奏したとはいえ準オープンで４馬身差突き抜けるのだから力が違った。母ワシントンシティはチリの名牝で一定以上の底力は備えているしハマった時の破壊力に警戒。

グランプリボスは今春に休み明けのマイラーズＣを勝ったが根は叩き良化型なのでスプリンターズＳを挟んでの参戦はいい。ただ昨年のマイルＣＳ後の陣営の表情からすると獲るべきは次。

同厩のダイワマッジョーレも賞金的には大丈夫だし、京王杯ＳＣはＨペースだったので差し切れたが元々が1400m向きではないので軽視。マジンプロスパーもアドマイヤコジーン×バブルガムフェローでストライドの伸びない走法だから京都の直線は不向きだ。